TRP2018

「平和的」「もっと音楽を」東京レインボープライドで欧米人は何を感じたのか

パレードに参加したり、沿道で見守った外国人に聞いた

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テキスト:鷲見洋之
写真:豊嶋希沙

性の多様性と自由を啓発する祭典『東京レインボープライド』が9日間にわたり開催された。最終日の5月6日に渋谷・原宿で行われた約2.5キロのパレードには、国内外から約7000人の人々が参加。様々な国籍の、様々な性的指向を持った人たちがにぎやかに行進した。

伝統的な性別観が根強い日本社会は、しばしば性的マイノリティ(LGBT)に優しくない「後進国」とのらく印が押される。海外の人々は、東京のレインボープライドを見て何を感じたのだろうか。パレードにいた外国人に話を聞いた。

細かなルールが多い

参加者の間には自由な雰囲気が漂い、交通整理の警察官の表情もにこやか。明るい空気に満ちていたが、海外のパレードを経験した人からすると、気になる部分もあったようだ。オーストラリア出身で、ボーイフレンドと一緒に参加した留学生ジョー(27)は、「日本も一歩一歩オープンになってきている」としながらも「でも未だにルールが厳しい」と苦笑い。行進は5列で行うルールや、隊列を離れたり、別の隊列に加わったりしてもいけないなど、細則が多いのが気になったようだ。

ああ

穏やかさ、静けさが印象的

今年のパレードには、過去最多37グループのフロート(山車)とマーチングが登場。様々な音楽で、陽気な雰囲気を作り出していた。だが外国人からは「静か」という声が多く聞かれた。ベルリン出身で日本を旅行中のラファエルは、「どうしてもっと音楽をかけないのですか」と筆者に質問。「ベルリンのパレードはもっとにぎやかで、セレブレーション(祝賀会)のような感じ」だという。不満というより、素直に不思議に感じたようだ。ロシア出身で都内在住の女性も「とても静かですね。ロシアはもっと騒がしい」と話していた。「もっと音楽があって、グッズの無料配布などをしてみると、より楽しくなるかも」とも。

だが穏やかな「東京スタイル」が好きという人も多く、スウェーデン大使館職員の女性は「参加者が驚くほど優しく、親切」と絶賛。フランス東部の町出身のソフィアン(25)も、「フランスだと、LGBTを認めない反対派が来ることもたまにあるので、東京の平和的なパレードはすごく素敵です」と満足げだった。一方で、彼が参加したフランスのパレードは、参加人数は東京と同じくらいだったが、一帯を歩行者天国にしていたため、より歩きやすかったという。

Time Out City Life Index 2018

歩行者天国にすべき? 

車道の開放を提案する声は、ほかにも聞かれた。来日4年目でアイスランド大使館に務めるドリー(37)は、「レイキャビークのゲイプライドでは、通りを封鎖し、車の通行をできなくします。そうすることでもっとパーティーみたいになり、人々の力を感じられるようになります」と振り返る。隊列の横を自動車やバイクが行き交う東京の光景を指差し、「だからパレードが細長いですよね。みんなが淡々と歩いているよう。表参道あたりを閉鎖してしまうなど考えてもいいのでは」と話した。ドリーはこの日、妻と3歳の息子、0歳の娘と共にパレードに参加していた。確かにこの状態では、子連れの参加者は危険を感じるかもしれない。筆者は取材中、信号待ちの自動車が発車する前に、なんとか道路を横断しようと走るパレード参加者の姿を何回も見かけた。明らかに危険だし、これでは五体満足の人でないと参列できないだろう。

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だがドリーは同時に、このイベントの成長に目を細めてもいた。「渋谷区などのパートナーシップ条例のように、いろいろな変化を感じています。そのいい例が、東京レインボープライドではないでしょうか。LGBTだけでなく、すべての人権のためのイベントとして大きくなってきていますから」と声を弾ませた。

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全て海外を模倣する必要はないが、今後も成長していくであろうこのイベントを、もっと楽しみやすいものにするため、改善の余地はあるようだ。沿道でパレードを見守っていた、日本在住の大学教員ジェフは、「確かに(海外と比べると)みんな穏やかですね。でも日本には日本のやり方がありますから。ともかく私は、このイベントの目的を支持します」と、「東京流」の成長を期待していた。

多様な人々を知る…

  • LGBT
東京レインボープライド特集
東京レインボープライド特集
性の多様性や、性的マイノリティ(LGBT)の人々への理解を訴えるイベント『東京レインボープライド』が、4月28日〜5月6日、都内一帯で開催された。参加者は年々増え、メインイベントのパレードには、約7000人が参加した。タイムアウト東京の関連記事を読み、性の多様性への理解を深めよう。
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