性の多様性や、性的マイノリティ(LGBT)の人々への理解を訴えるイベント『東京レインボープライド』が、4月28日〜5月6日、都内一帯で開催された。参加者は年々増え、メインイベントのパレードには、約7000人が参加した。タイムアウト東京の関連記事を読み、性の多様性への理解を深めよう。
テキスト:寺田愛
2018年4月28日から9日間にわたって開催された『東京レインボープライド2018』は、主催者側の予想をはるかに上回る約15万人もの人々が来場し、幕を下ろした。最終日の5月6日は、昨年の約1.5倍の7000人の人々が渋谷・原宿一帯を約2.5キロにわたりパレードし、街中をレインボーカラーで彩った。
パレードは、『東京レインボープライド2018』のメインイベントの1つ。フロートと呼ばれるカラフルな山車(だし)に先導され、人々が渋谷・原宿の街を行進する。2018年は、昨年より14グループ多い、過去最大37グループのフロート&マーチングが出場した。
今年のパレードでは、LGBT当事者だけでなく、アライ(LGBTを理解し支援するという考え方やそうした立場を明確にしている人)の企業や個人の参加が目立った。パレード当日、なぜ参加を考えたのかを聞いてみた。
LGBT映画の鑑賞やディスカッションなど、様々な活動を続ける神田外語大学のLGBTサークル「KUIS Rainbow」のメンバー。今回は学生だけでなく、教員も参加した。大学生にとっては、LGBTアライの参加企業も多く、このイベントが、就職したい企業を考えるきっかけになっているのだとか。これだけLGBTが認められる世の中になっても、まだまだカミングアウトしづらいのが現状。パレードを歩くことで、大学や社会などでの居場所を主張したいという。
お揃いのレインボーカラーのアフロが印象的な、職場の同僚3人組。中央の男性が職場でカミングアウトをし、昨年から3人でパレードに参加しているのだそう。普段から3人で旅行に行ったり、遊びに行ったりするほど仲が良く、友人の女性2人も「彼がゲイであるかないかは関係ない」と話す。自然体でパレードを楽しんでいた。
今年初めて参加したPwCジャパンのメンバー。全世界157ヶ国にネットワークを持つグローバル企業だ。PwCグループでは、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を掲げ、革新的で先進的な企業を目指しているのだそう。ジェンダーイシューだけでなく、社員が互いを尊重し、一人一人がありのままでいられる組織を目指しているのだという。「Be Yourself!Be Different!」を合言葉に、今回のパレードを歩いた。
ここ数年、何度かパレードに参加している男性。毎回1人で参加しており、一個人としてイベントを盛り上げている。年を追うごとに、規模が大きくなり、よりオープンな雰囲気になってきたという。特にLGBTアライの参加者が増えたことは心強い。この男性は、近年話題に上ることが多くなった同性婚には反対している。賛成も反対もまた多様性。「パレードに参加し、自分の主張を訴えることで、来年のパレードまでまた頑張れる」という言葉が印象的だった。
パレードの中でも一際目立つ白衣を着た50人の集団は、IFMSA JAPANの学生たち。将来ドクターを目指す医大生の団体だという。「SCORA」という、性と生殖、エイズに関する委員会で、HIV/エイズ、セクシャルマイノリティ、生殖医療についての知識を深める活動を行っている。医師にもセクシャルマイノリティはいるし、それもごく普通のことだと訴えていた。
6年間パレードに参加し続けている女性は、「私たちを見てクローゼットの人(自身のセクシャリティを公表していない人)が歩くきっかけになれば」と話す。ここ数年で、LGBT当事者だけでなく、その家族やアライの仲間たちも一緒に歩いてくれるようになったのがうれしいのだそう。
左利きやAB型の人と同じくらい存在するLGBTの人々
LGBTへの理解が高まったとはいえ、法制度の不備や、家族、会社、同僚の理解の不足など、まだ高い壁があることも事実。日本人の13人に1人(約8パーセント)がLGBTであると言われ、その割り合いは左利きの人やAB型の人とほぼ同数だ。左利きの人やAB型の人のように、LGBTの人も当たり前のように存在できる世の中が近づいてきていることを感じた1日だった。