ー本作の制作に至った背景を教えてください。オリジナルの『ブレードランナー』は、あなたにとってどのような作品なのでしょうか。
ヴィルヌーヴ:僕が『ブレードランナー』を観たのは、映画監督を夢見るようになったときでした。その強烈な芸術性にショックを受けました。当時は、SFを真剣に扱ったスタンリー・キューブリックやスティーヴン・スピルバーグのような作品はそこまで多くはなくて。B級やパロディー映画ではない、SF作品に飢えていました。そんなとき、リドリー・スコットが描いた未来像は、現実に起こりうる未来を見せられているような衝撃を覚えました。
ー有名な撮影監督の多くが、本作をきっかけに映画の世界を目指しています。続編を制作するにあたり怖いと思う部分はありましたか。
ディーキンス:もちろん、怖いと思いました。ドゥニが最初に話を持ちかけてきたとき、続編は、まったく別の映画になりそうでした。ストーリーや映画の世界観は原作と繋がりがありますが、僕はオリジナルの撮影監督のジョーダン・クローネンウェス(Jordan Cronenweth)ではないし、彼のような照明は不可能です。同じような方法で撮影しようとは少しも考えませんでした。
ー本作を制作する決心がついたのはいつですか。
ヴィルヌーヴ:時期的には2つありました。「イエス」と言う前と、「イエス」と言った後です(笑)。まず最初に脚本を手渡されたとき、とても信頼してもらっていることに驚きました。名誉であり、同時に重荷でもありましたが、心を動かされました。彼らが映画の計画に取り掛かっていることを知っていましたが、続編の制作は素晴らしいアイデアである一方、悪いアイデアでもありました。映画界から、自分が愚かなやつと思われたくはありませんでした。なので、「誰かがその重荷を背負ってほしい」と言いました。賭けに出る価値があると思ったときにはすでに、決心をつけなければいけませんでした。