[title]
夜な夜な、都内のどこかに現れる謎の白い屋台がある。屋台の名前は、『Twillo(トワイロー)』。アルコールやシガーを提供するBARだ。深夜、どこかでこの屋台に出会ったなら、躊躇せず入ってみてほしい。翌日同じ場所でこの屋台に出会えるとは限らないからだ。
Twilloの店主を務める旅人、神条昭太郎は、少々変わった経歴の持ち主。大学を卒業した後、銀行員、フリーター、議員秘書などを経て、今から8年前にTwilloをはじめた。店は、最初の3年間明治神宮外苑の銀杏並木にて屋台を構え営業し、その後2年間休業。そして今から3年前また営業を再開し、その時から都内を点々と冒険するスタイルをとるようになったという。
Twilloの営業スタイルは、人生そのものとも言える。
長い間1つの場所に店を構えBARとして営業すると、慣れ親しんだ場所と常連客に囲まれ看板にも箔がつく。しかしそれをあえて捨て、場所を移動することで景色も人の種類も全く変わり、移動するたび毎回ゼロからのスタートとなる。場所を変えた1日目は、慣れない土地で1人深夜に、待てど待てど誰も人が訪れずエネルギーを使うというが、それでも裸一環、屋台で点々と都内を移動し続ける。「明日どこに行くかは分からないが、明日のことが分からないのが人生」と、神条は言う。
Twilloの魅力は営業スタイルだけではない。屋台に不釣り合いなラグジュアリー感は驚きの1つだ。メニューはドリンクのみだが、フードの持ち込みが可能。カクテル(500円〜)、ビール、ワイン(500円)などのほかに、23年もののラム酒、カルバトス、アブサンなども提供し、カクテルやワインなどは、店主こだわりのバカラグラスで飲むことができる。リキュールも、オレンジとハーブの香りが爽やかな『アペロール』や、南アフリカのクリームリキュール『アマルーラ』など、女性に嬉しいものが多い。また、冬はホットワインやホットラムも人気だ。
Twilloは日曜日以外、毎晩都内のどこかで営業。屋台でほとんど屋根もないが、雨の日も雪の日も台風の日も(!?)営業しているという。夏の夜、屋台で立ち飲みするのは気持ちが良いが、ファンに人気が高いのは冬のTwillo。尋常でない寒さの中、屋台に集った知らない者同士が身を寄せ合ってホットワインやホットラムを飲むのは、とても印象深い思い出になりそうだ。
突然現れたと思えばある日パッと消えてしまう夢のようなBAR。もし偶然出会えたらとてもラッキーだが、行ってみたい人はTwilloのツイッターで現在地をチェックしてみよう。