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2017年はアラーキーの年だ。毎年精力的に展示や出版を行っている写真家の荒木経惟だが、今年は国内だけでも10の展示が行われる。この夏は、東京オペラシティアートギャラリーと東京都写真美術館、ラットホールギャラリーの3ヶ所で開催。膨大な過去作品のみならず、今年撮影された新作も多く展示されているのも見どころだ。
東京都写真美術館のプレスツアーで作品を解説する荒木経惟
荒木によると「天から才能をもらい過ぎちゃって、早くやらないと使い切れない」、「すべて回ってもらえれば、どんな写真を撮ってるか世界観が分かってもらえるだろう」とのこと。2017年5月に77歳を迎えてもなお、才能を発揮し続ける荒木の写真群を堪能しよう。ここではそれぞれの展示の特徴と見どころを紹介する。
『荒木経惟 写狂老人A』
2017年7月8日(土)〜9月3日(日)
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の、
『荒木経惟 センチメンタルな旅 1971–2017–』
2017年7月25日(火)〜9月24日(日)
今、荒木が最も気に入っているという陽子の写真。「陽子のメモワール」に展示されている『東京物語(1989)』
東京写真美術館の総合開館20周年を記念した展覧会。荒木が結婚した1971年に刊行された写真集『センチメンタルな旅』の総決算でもあり、現在まで荒木の作品に影響を与え続けている妻の陽子に焦点をあてた展示だ。同写真集の収録作品はもちろん、世界初公開の作品までが揃う。新婚旅行から陽子の死、その喪失感から生まれた作品、そして現在。楽しさと悲しみ、生と死がジリジリと迫ってくるような展示だ。今、荒木が最も気に入っている陽子の写真は「陽子のメモワール」に展示されている『東京物語(1989)』の1枚で、彼女の人間性が良くでているからこの写真なのだそう。
『荒木経惟「花幽園」』
2017年7月14日(金)〜8月31日(木)
ラットホールギャラリーでは、咲き乱れる花々に、人形や怪獣の玩具が絡み合うように配されたカラー写真の最新作を展示。本展で紹介される『花幽園(かゆうえん)』シリーズは、荒木作品の大きなテーマの1つである「生と死」が、対照的な花と玩具の姿を通して、官能的かつユーモラスに写し出されている。