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渋谷に新名所誕生となるか。
HMVが2014年8月2日(土)にオープンするHMV record shopは、その名の通りアナログレコードを中心に取り扱う大型レコードショップだ。CDなどのフィジカル商品の売り上げが不振の今、あえてアナログレコードにこだわった店舗をオープンする同社の新たな展開に、注目が集まっている。
先日惜しまれつつ閉店となったDMRの跡地に現れた同店の様子を、ひと足先にレポートする。
同店が店舗を構える渋谷区宇田川町といえば、90年代にはレコードショップの聖地として、日本のクラブカルチャーの中心地だった場所だ。2010年に閉店したHMV渋谷店も、「渋谷系」ムーブメントを牽引する存在として君臨していた。
入り口付近のブースや棚には、現在では入手困難な名盤や注目の若手の新譜をアナログ化した『HMV EXCLUSIVE』が並ぶ。現時点でおよそ20タイトルが用意されている同シリーズには、既に多くの予約が入っている。また、現在の10代、20代に人気のあるアーティストの音源のアナログ化も、今後、積極的に行っていくという。
オープン前日の8月1日(金)にはプレス向けの内覧会が行われた。同店店長の挨拶の後に壇上に上がったのは、同店の事業責任者であり、自ら欧米に赴き音源の買い付けも行った小松正人。
自らが5000枚以上のレコードコレクションを所有する小松だが、同店オープンに至る経緯として、「ここ数年のCDの売り上げダウンを補完するため、中古商材への参入を計画した。中古市場には既に強力な競合店がいるため、専門性の高いショップを目指す必要があると判断し、そのためにはアナログレコードは不可欠であると考えた」と語った。
また、「HMVの客層は、HMVでCDを買いつつ、他店でアナログレコードを買う人も多い」という点や、近年、レコードストアデイなどの影響で徐々にアナログへの関心が高まっていることも、同店のオープンに大きく影響しているようだ。
総点数は約8万点で、その6割がアナログレコードだ。
品揃えに関しては、60年代〜90年代の洋楽が8割を占め、残りが邦楽となる。
宇田川町にDJや音楽マニアがひしめきあった90年代には、DJに人気のある12インチ盤のレコードが主流だったが、現在人気があるのは自宅でゆっくりと楽しめるLP盤や手軽な7インチ盤。同店もそれらを中心とした品揃えだ。
1階フロアでは洋楽ロックや邦楽のロック、ポップスのアナログと、中古CD、関連書籍、ポータブルプレーヤー、オーディオアクセサリーが展開されている。
試聴用には、レーザー式高級オーディオセットを用意。盤を傷つけることなく最高の音響で試聴が可能だ。
2階は中央をソウル、レゲエ、ジャズなどレアグルーヴ系フロアとし、奥の部屋には7インチやカセットテープが並んでいる。
インストアイベント用のDJブースには、パイオニアが30年ぶりに新発売することで話題のターンテーブル『PLX-1000』を設置。有名DJを招聘し、アナログの醍醐味を発信していく。
店内を見て回った印象としては、現在宇田川町で生き残っている他店のようにDJ向けの品揃えではなく、アナログレコードがリアルタイムだった世代や、アナログの音質やジャケットなどの魅力に目覚めた新たな世代に向けた、間口の広い品揃えだ。アナログレコード復権への大きなきっかけとなるか、今後に期待したいところだ。
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