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「変態の総合デパート」とも呼ばれ、その手の人たちの間で熱狂的な支持を得る名物イベント『デパートメントH』。毎月、第1土曜日に開催される同イベントのなかでも、とりわけ盛り上がりを見せる5月の恒例パーティー『大ゴム祭』だが、今年は諸般の事情により6月の第1土曜日の開催となった。『大ゴム祭り』についての詳細は、昨年のレポート『紳士淑女の秘密の夜会、デパHに潜入』に譲るとして、前回にも増してますますの大盛況となった今回の様子を写真とともに伝えよう。
まず来場者たちの度肝を抜いたのは、ラテックスを使った造形作品で知られるアーティストのサエボーグによる冒頭のパフォーマンス。昨年もYottaとのコラボレーションによる新作を発表して会場を沸かせていたサエボーグだが、今回はかつてないスケールの作品で前回をも上回る衝撃を与えた。サエボーグのトレードマークともいうべきブタの作品が、舞台いっぱいになるほどの大きさで展開される、その巨大さにも圧倒されるが、続く「出産シーン」に客席の目は釘付けになる。その肥大化した雌ブタが次々と「ゴム豚」を産み落とす様は圧巻で、会場は歓声とも悲鳴ともつかない声に包まれていく。
その後、恒例のラバリストによるウォークや、今や世界中で大人気のラバーファッションのオートクチュールブランド『KURAGE』によるファッションショー、音楽ライブやキャットファイトなどのパフォーマンスが続く。ステージ上だけでなく、それぞれのセンスや欲望にかなった艶姿を顕示する来場者たちがひしめく客席も見逃せない。
サエボーグの母ブタが産み落とすブタたちのごとく、多様かつ異様な人間のあらゆる欲望が生々しく発露するパーティー、『デパートメントH』。とかく人と同じであること、無難であることが求められる「現実社会」の方こそフェイクであるかのように感じ、この日もすべての人が軽やかに肯定された気持ちで鶯谷を後にしたことだろう。