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「青春の甘酸っぱい思い出」「苦い経験」などの表現があるが、誰も「思い出」や「経験」をかじったり舐めたりした訳でもない。それなのになぜ言葉には味覚表現が使われるのだろう。そんな疑問を感じたことがある人は、やなか珈琲店に行ってみよう。
NECとやなか珈琲店が、AIを使い名作文学を味覚として表現したブレンドコーヒー『飲める文庫』を開発した。コーヒーになったのは、島崎藤村の「若菜集」と太宰治の「人間失格」、夏目漱石の「吾輩は猫である」「こころ」「三四郎」、森鷗外の「舞姫」の6作品。読書の日の2017年10月27日(金)からやなか珈琲店の都内9店舗と通販サイトで発売される。
コーヒーとしての味わいは、次のように再現された。まずサンプルとして、様々な文学作品に対する1万件以上のレビューを味覚に変換。例えば「悲しい結末だった。切なさが湧きあがってきた」というレビューなら「苦味」とし、「テンポが良く爽快で一気に読めた」なら「クリア感」とするなどの基本データを作成した。続いて、6作品のレビューを分析、データを当てはめ、それぞれの味わいを「苦味」「甘み」「余韻」「クリア感」「飲みごたえ」の5項目でレーダーチャート化した。最後は、やなか珈琲店のカップテスター(コーヒー豆の風味や味覚などを検査する専門職)がチャートを基に味を再現したという。
重厚な物語の「こころ」は、しっかりした苦味と飲みごたえのあるコーヒーに。青年の淡い恋が題材の「三四郎」は、苦味を抑えた芳醇な甘みが特徴の一杯になった。軽妙な文章が特徴の「人間失格」は、クリアでスッキリした味わいだ。
コーヒー豆タイプ(100グラム950円)は11月30日(木)まで販売、ドリップバッグタイプの6作品セット(2340円)は11月8日(水)〜11月30日(木)に販売される。