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日本のクリスマスは海外から見ると変わっている。コンビニでデコレーションケーキが売られ、ストレスを抱えた男たちがロマンチックなレストランの予約に奮闘し、フライドチキンを買うための行列ができる。
このカオスに秩序をもたらそうとしているのが、パラダイス山元である。彼は日本で唯一の公式サンタクロースであり、グリーンランド国際認定サンタクロース協会の公認メンバーである。山元は、1998年に赤い服に身を包んでから、国内の隅々まで喜びを届けることに忙しい。お決まりの「ホーホーホー!」を完璧に発声するのに励むかたわら、子どもの病院や孤児院を訪れるなど、様々な活動をしている。彼にとって子どもたちと触れ合うことはこの仕事の好きなところのひとつだ。 「長く病気を患っている子どもたちや、親を亡くした子どもたちにほんの少しだけでも幸せを運べることは、大変ですが非常にやりがいがあります」。
その一方で、今もなお自分を認めてもらうことに苦労している。「毎年11月末から、フィンランドなど各国からサンタクロースが日本に来ます。彼らは日本以外では何の影響力も持っていないのに、日本人はその人たちだけが本物だと思ってしまうので悔しいです」。 しかし、サンタクロースだからといって、山元のすべての時間が奪われるわけではなく、マンボ音楽、オリジナルの盆栽、餃子づくりなど多彩に活動をしている。
山元にとって特別な意味をもつクリスマス。「クリスマスの本当の意味は、プレゼントをもらうのではなく与えることです。日本人が理解する必要があるのは、クリスマスは何週間もかけて準備し、リラックスして大切な人とともに時間を過ごす日なのです」。また、どうしてフライドチキンなのかと質問すると「素晴らしい市場戦略です、ケーキと同じようにね」と答えてくれた。
タイムアウト東京マガジンNo.5より