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『FUJI ROCK FESTIVAL'17』の出演アーティスト第1弾が発表された。もしこの23組のラインナップに知らない名前を見つけたら、動画サイトなりサブスクリプションサービスなりで、すべてのアーティストの音源をチェックしてほしい。日本の洋楽マーケットの弱さに屈することなく、今観るべきアーティストを呼ぶのだという『フジロック』の強い姿勢が頼もしいラインナップである。
まずはヘッドライナー枠と思われるAphex TwinとBjörk。年明けにネットに流れたヒューストンでの最新セットが話題となっていたAphex Twinは、言うまでもなく『フジロック』再降臨をもっとも待望されていた人物のひとりだろう。昨年の『Björk Digital―音楽のVR・18日間の実験』で民謡DJを披露しオーディエンスの度肝を抜いたBjörkは、2013年以来の『フジロック』登場となる。
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The XX、The Lemon Twigs、SAMPHAといった面子が並んだ点は、海外フェスと肩を並べ「日本のロックフェス総本山」の看板を背負った『フジロック』の面目躍如である。The XXとSAMPHAは昨年末に来日公演を行いライブパフォーマンスには絶賛の声が上がっていたが、まだまだ注目、人気は右肩上がりの状況。The Lemon Twigsは今月末の『Hostess Club Weekender』に登場するが、ギャラガー兄弟、はたまたジョン&ポールばりのスケールを予感させる彼らの真価やいかに。
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ファーザー・ジョン・ミスティ(Father John Misty)の登場に膝を打った人もいることだろう。フリート・フォクシーズのドラマー、という肩書きで語られていたのは過去の話で、本国アメリカではTime Out New Yorkの表紙を飾るヒップスターに上り詰めている。アメリカーナ、フォーキーをルーツにした素晴らしいアーティストが絶えず一線に存在するアメリカでも頭ひとつ抜けた存在である彼。満を持しての『フジロック』登場である。
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同じくアメリカのスタージル・シンプソン(Sturgill Simpson)がラインナップされたことも、嬉しい驚きだ。2017年の『グラミー賞』で「最優秀アルバム賞」と「最優秀カントリー・アルバム賞」にノミネートされている彼は、ウィリー・ネルソンを敬愛するカントリーのシンガーソングライター。ちなみに、海軍に所属していた過去があり、赴任先は横須賀基地だったという。
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オールマンブラザーズバンドやテデスキ・トラックスバンドなど、エネルギッシュなブルースのファンはまずチェックしておいて損はないのが、The Marcus King Band。バンドリーダーであるギタリストのマーカス・キングは、齢なんと20歳。アルバムではゲストに招いたデレク・トラックスとソロの応酬を繰り広げている恐るべきニューカマーである。さらに、同じくブルースアクトでは御大エルヴィン・ビショップも登場する。
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ダンスアクトにLCD SoundsystemとMajor Lazerが来るあたりも、良い塩梅。Bonobo、Ásgeir、Rhye、Lorde、Templesあたりの並びも、洋楽ファンの心を掴むのに充分。そうしたツボを押さえたラインナップのなかで、ひとつ見慣れない名前が「WESTERN CARAVAN」である。ニューヨークのクラブでカントリー、ウェスタンスウィングのスタンダードナンバーやオリジナル曲を日々演奏しているローカルなバンドだというが、パレスオブワンダーあたりのステージで映えまくるであろうことは容易に想像がつく。
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というわけで、残りのヘッドライナーはもちろん、今年の『フジロック』がこれからどんな広がりを見せてくれるのか、今から楽しみである。