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アートとデザインをつなぐ、富山県美術館が開館。新しい風は吹くか

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Naoshi Takeshima
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「スカートに見えますけどパンツなんです。彼女たちが歩くことで風が起こる」。世界的ファッションデザイナーの三宅一世は言う。2017年2月10日に行われた富山県美術館開館プレス会見で、自身がデザインを手がけた新しいユニフォームを説明する一幕だ。会場には、三宅をはじめ、青柳正規、内藤廣、雪山行二らが登壇。

富山県美術館は2017年8月26日(土)、富山県立近代美術館の名を改め富岩運河環水公園に隣接するかたちで再スタートを切る。旧富山県立近代美術館は、詩人で美術評論家の滝口修造の考えを引き継ぎ、近現代美術ではダダ、シュールレアリスム、戦後アメリカンアートなど、デザインでは約230の椅子と膨大な数のポスターなどを収集、展示してきた実績がある。その美術館が「近代」を名称から外した。これまでの精神を引き継ぎながらも美術をもっと広く捉えたいからだ。


新しい略称はTAD。Tは富山、Aはアート、Dはデザインを意味する。そう、富山県美術館は、「アートとデザインをつなぐ」ことを新たな特徴に掲げる。館長の雪山は「デザインを従来のようにモノとして捉えるのではなく、人間の根源にある創作活動=デザインと考えたい」と語る。

このリニューアルに助言などを続けてきた前文化庁長官で現東京大学名誉教授の青柳も、アートとデザインがいま境界を失っていること、日本には工芸の長い歴史があることから、その重要性を強調する。アートとデザインを隔てなく扱った美術館は、世界的には1929年に開館したニューヨーク近代美術館などがある一方で、日本では自らが三宅らとともに提唱する国立デザイン美術館構想がいまだに実現しないことへの苛立ちもあるようだ。



収蔵品と展示の充実のほか、市民の集いの場としての役割も担う。地上3階、子どもたちの遊べる屋上を持つ同施設は、ミュージアムショップやレストランだけでなく、県民が参加できるワークショップを行うアトリエや彼らの作品を展示できるギャラリーも設ける。双方向の美術館体験を提供する狙いだという。

建築家の内藤廣はオープンを控え、「この美術館の屋上からの景色は日本一」と胸をはる。そして館長とスタッフたちはいま、開館記念の美術展『生命と美の物語 LIFE-楽園をもとめて』の準備を続けているそうだ。会見では、最初の展覧会は多くの人に開かれたものにしたいとの抱負も聞けた。

さて、建物はできた。富山から新風が吹き渡ることを期待したい。

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