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JAZZ喫茶 映画館
値段:¥¥
音量:★★★★
照度:★★★
ポイント:オープンリールや映写機、カメラ、映画ポスターなど、店内の様々な機材やアンティーク
定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフがセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。
今回は、都内で最も個性的なジャズスポットのひとつであるJAZZ喫茶 映画館を紹介する。サイフォンで淹れたコーヒーをすすりながら、スピーカーから流れるジャズに耳を傾け、静かに贅沢を味わう。そんな光景が、この店では40年間変わることなく続いてきた。
扉を開け、店内に足を踏み入れると、時間の流れがひどくゆっくりになる。奥に鎮座する大きなスピーカーをはじめ、店内のあちこちにオープンリールや、映写機、カメラ、映画ポスターなど、様々な機材やアンティークが置かれている。ドキュメンタリー映画を製作していた経歴を持つ店主、吉田のマニアックな趣味だ。
1976年から白山で営業するこの店は、もともとは吉田が仲間と一緒に映画を上映するためにこの店舗スペースを借りたのが始まりだ。その後、次第に現在のジャズバーへと変容を遂げ、素晴らしいオーディオシステムに加えて、貴重なジャズレコードの数々、さらには多くのフィルムや写真集など、ジャズマニアや映画マニアたちが惹きつけられやってくる店となっていった。
「ジャズは曲単位ではなくLP単位で聴くものですし、私が選ぶ曲はデータで聴いても面白くない曲ばかりかもしれないですが……。10曲ということでしたら、スタンダードなジャズナンバーから色々なバージョンを選んでみますか」。ということで、スタンダードナンバーを軸にプレイリストを作ってもらった。
「ジョン・コルトレーンの『My Favorite Things』は、これだけで30枚以上あります」とのこと。今回は、アルバム『My Favorite Things』のテイクと、彼が亡くなる3ヶ月前に録られたライブ録音『The Olatunji Concert:The Last Live Recording』からのテイクの2パターンを選んでくれた。
「このエリック・ドルフィーの『Out To Lunch』は、オリジナル盤は溝が深くて、非常に迫力のある音がするのです。この作品は、大友良英さんがお気に入りということで、以前にdoubtmusicからカバーアルバムを出していました(『ONJO plays Eric Dolphy's Out To Lunch』)」。
「日本人で選ぶなら、美空ひばりはすごいジャズシンガーでした。美空ひばりをかけるジャズ喫茶は、あまりないと思いますが(笑)」。
ジャズとレコードに深い愛情を注ぐ吉田は、リクエストにも気軽に応えてくれる。昔ながらのジャズ喫茶の雰囲気を味わいたい人は、ぜひ訪ねてみてほしい。