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Point・66
値段:¥¥¥
音量:★★★
照度:★★
出会い:★★★★★
この一杯:本格麦焼酎 O.Henry
※プレイリストは記事下部
定番スポットや老舗バー、注目の新店まで、魅力的なミュージックスポットを、店主、スタッフ、常連客がセレクトしたミュージックプレイリストとともに紹介する連載企画『TOKYO MUSIC BOX』。
第20回に紹介するのは、渋谷のPOINT・66。2015年10月にオープンした同店は、ロケーションこそ夜間は閑散としている並木橋エリアにある雑居ビルの4階という目立たないものだが、店内の活気は凄まじい。客の輪の中心にいるのは、西麻布で36年にわたって多くのミュージシャンや著名人に愛されたクラブ、328の元オーナー前園勝次。2015年6月に惜しまれつつ328を閉めた彼が、次に拠点として構えたのがこのPOINT・66だ。年齢や職業を問わず、時にビッグアーティストと学生が肩を並べて飲むことさえある気さくで温かな雰囲気は、328時代から変わらないものだ。
日本にまだクラブカルチャーの影も形もなかった1979年にオープンした328、そしてこのPOINT・66の魅力は、「可も不可もないものは犯罪だよ!」という前園のロックスピリットなくして語れない。
同店は店長の春木をはじめ、スタッフが若い。客層はやはり328からの常連客が多いが、前園はここが同窓会的な場所とならないよう心がけている。
「うちにきて知ってる顔がいないとがっかりする人がいるけど、昔なじみに会うのではなくて今友達を作れ!ってね。音楽も、もちろんクラシックなものも好きだけど、常に新しいものを取り入れてる。最近だとSOPHIEとか、アンドリュー・ウェザーオールの新譜もよくかけてるよ。昔の人は過去の音楽で止まっていたりするけど、それはなんとかしたいよね。だから、僕は引っかけ役、場を引っ掻き回す人なの。人や音楽との新しい出会いを生むためにピエロになる勇気を持つってこと(笑)。お客さんをオープンにするためには自分がオープンにならなくちゃ」。
バーのような雰囲気の同店だが、もちろんDJブースもある。週末を中心に色々なジャンルのDJが入ってプレイしており、DJ NORIなど大物DJがふらっと登場することもある。前園が持つDJ観も独特だ。
「良いDJっていうのは、今誰がやっているのか、ブースを見なくても音だけで分かるような人だよね。僕は80年代のディスコみたいなチクっとこない音楽は嫌いなんだけど、良いDJがかけると苦手な曲でも踊らされている自分がいる。そういうものだよね。『音楽離れ』って言葉を聞くことがあるけど、好きなアーティストのライブに行ってじっとステージを見つめているだけじゃ、そりゃだめだよ」。
店長「春ちゃん」はムードメーカー。前園に負けず劣らずの明るさで愛されている
同店の特等席はこのベランダ席
先日67歳の誕生日を迎えたばかりの前園だが、さらなるプランを思案しているという。
「パリのムーランルージュってあるでしょ。あれの東京版を青山に作りたいんだ。青山って遊び場がないでしょ。音楽とダンスと人が溢れていてカルチャーが生まれる、東京のエンターテインメントの目玉になる場所を作りたい。たとえばトランぺッターの近藤等則とゴールデンボンバーが一緒に出るようなさ、そういう場所ってないじゃない(笑)」。
若者も巻き込もうという前園の「東京ムーランルージュ」構想への気概はまぶしく映る。都市生活者のライフスタイルが良くも悪くもこじんまりとしてきた今だからこそ、懐の深い大きな場所を潜在的に求めている人は、意外と多いのかもしれない。
そんな熱いスピリットが宿るPOINT・66をプレイリストで表現してもらうと、どうなるのか。前園と春木に、渾身の10曲を選んでもらった。第1弾のプレイリストは『POINT・66 Ordinaries』。「UKを主軸に、常に新しさを追求」している同店の、オルタナティブなアンセム集となっている。
※プレイリストリンク 先:KKBOX
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[ プレイリスト]