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福祉の枠を越えた様々な商品展示やトークイベントなどが行われる『2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展』(超福祉展)が11月7日、渋谷で始まった。渋谷ヒカリエで開催されたオープニングセレモニーでは、渋谷区長の長谷部健があいさつし「このイベントがどんどん大きくなっていることを心強く思っている」と開催を祝福した。イベントは13日(月)まで、渋谷キャストやハチ公前広場など区内9ヶ所を会場に行われる。
NPO法人ピープルデザイン研究所主催、タイムアウト東京など共催。「超福祉展」は、従来の福祉のイメージを覆すようなデザインとテクノロジーをいかした福祉機器や開発者などを紹介することで、障がい者やLGBT、高齢者らマイノリティなどに対する意識のバリアを取り払ってもらおうと、2014年から毎年行っている。
初日のセレモニーでは、同研究所代表理事の須藤シンジ、渋谷区長の長谷部、タイムアウト東京代表の伏谷博之ら7人があいさつ。須藤は、これまでの3回の歩みを回顧、「最初は、ポップカルチャーとテクノロジーの新たな表現として福祉を発信しようと「超福祉展」を始めた。対象を身体障がい者から様々なマイノリティーにまで広げたのが2回目。2016年の3回目は、福祉機器とサービスをみんなに体験してもらおうと、宮下公園など(渋谷ヒカリエの)外に出て行った」と振り返り、「2017年は、街のおしゃれな(福祉の)文化を作っていきたいという願いを込めた。この輪をさらに広げていきたい」と狙いを語った。
続いて長谷部は、行政区としても「超福祉展」を後押しする考えを表明。「このイベントがどんどん大きくなっているのを心強く思っている。これを広げていくのは区の務め」と述べた。2015年に施行された、同性カップルに証明書を交付する『渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例』についても触れ、「(条例によって)LGBTという目に見えないものが可視化された。1つのうねりを作ることはできた」と手応えを語った。
「超福祉展」に影響を受け、マイノリティを含むあらゆる人が過ごしやすい都市・東京を実現するためのプロジェクト「OPEN TOKYO」を立ち上げた伏谷は、「『超福祉展』に出会わなければ、OPEN TOKYOは生まれていなかった」と感謝。「OPEN TOKYO」をテーマに、タイムアウト東京と日本経済新聞社クロスメディア営業局が共同制作した『日経マガジンFUTURECITY』の第2号を紹介しながら、「『超福祉展』と連携しながら、心のバリアを取り払う取り組みや、マイノリティーが過ごしやすい社会作りに、少しでも貢献していきたい」と意気込んだ。
渋谷ヒカリエには、ヤマハ発動機が開発した、小洒落たフォルムとデザインの電動三輪コミューター『07GEN』や、設計データがオープンソースとして無料公開中の義手など、最新の福祉機器が並び、大勢の人が足を止めて製品に見入っていた。同会場では、9日(木)に、タイムアウト東京とOPEN TOKYOによるトークセッション『日経マガジンFUTURECITY セミナー@超福祉展 OPEN TOKYO Talk 「あと1000日でできること」』も予定されている。障がい者が過ごしやすい環境整備などに取り組むNPO法人アクセシブル・ラボ代表理事の大塚訓平や、ヨコハマ・パラトリエンナーレなどを手がけるNPO法人スローレーベルディレクターの栗栖良依(くりす よしえ)ら4人が登壇し、開催が約1000日後に迫った東京パラリンピックまでに東京が注力すべき課題などについて話し合う。予約なしで観覧できる(先着100人)ので、気軽に訪れてみよう。
セレモニー終了後、須藤は、自身が抱く街の理想像について「困っている人がいたら当たり前に声をかけるのがかっこいい、とみんなが思うような文化を作り、多様な人が交わる渋谷にしたい」と語り、「渋谷の未来のため、2020年を最大限活用したい」とも強調。「見て、来て、体験してもらうことが、超福祉とはどんなものなのかを理解する一番の近道だと思う」と大勢の来場を呼びかけていた。
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