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2016年4月29日(金)〜5月5日(木)の1週間にわたり、イベント『向源 in 日本橋』が開催されている。『向源』とは、宗派や宗教を超えて、神道や仏教などを含めた様々な日本の伝統文化を体験できるイベント。6回目となる今年は、江戸時代五街道の出発点だった日本橋を中心に173コマの体験型ワークショップや公演などが開催中だ。そのイベントの一部を紹介したい。
昨年までは増上寺を会場に開催されていた同イベントだが、今年はコレド室町やYUITO、駅地下通路など、日本橋周辺の様々な場所で展開されているのが特徴。4月30日(土)はコレド室町やその周辺でワークショップが開催されていた。
総合案内所のすぐそばにいたのが、他力本願.netという団体が開催している『グチコレ』というイベント。浄土真宗の僧侶が何でも愚痴を無料で聞いてくれるという。
この日、筆者は疲れていたので、「荷物が重い」「ゴールデンウィークに1人で働くのが辛い」と愚痴を僧侶の女性にこぼした。少々甘やかし気味で何でも優しく聞いてくれるので、つい調子に乗りそうになるが、愚痴で自分の本音と向き合うというのが『グチコレ』本来のテーマらしい。愚痴だけではなく色々な話ができるので、浄土真宗の僧侶に聞いてみたいことを質問するのにもぴったりだ。雑談の後は、華葩(けは)をもらうことができた。仏教では仏を供養するために華を散布する「散華」が行われるが、その際に華の代わりとして色紙の華葩が使用されるという。様々な仏教のしきたりに触れる機会にもなりそうだ。
『極楽箸で心と向き合う』というワークショップでは、地獄と極楽の説法を、説法の中に登場する箸を実際に使用しながら体感していた。 初対面の参加者同士で話し合い、食べさせ合うのはなかなか楽しそうだ。
そして、『向源』最大のイベントといえば、毎年開催されている『声明公演』。天台宗の声明、日蓮宗の『木剣加持』、そして真言宗の太鼓という宗派を超えたコラボレーションと共演を楽しむことができる。
公演前には香司の今井麻美子がこの公演の響きに合わせて特別に調香した塗香(ずこう)が配られる。これで手や口を清めてから声明を唱えるのだ。
公演初日の4月30日(土)は、天台声明の『散華』の一部を参加者全員で練習。天台宗の声明公演中、観客も参加して全員で唱えた。
向源の目標は2020年の東京オリンピックの際にイベントを開催すること。『声明公演』で見られるような、違う宗派同士がコラボレーションし、一緒に声明を唱えるという行為は、『向源』独特の文化で、海外にはあまり見られないだろう。さらに同イベントでは仏教だけでなく神道も取り入れているのだ。日本では、声明を祈りとして聞く人もいれば、エンターテインメントとして楽しむ人がいても良い。日本独特のおおらかさが伝わるこのイベントがオリンピックと双璧をなす存在となり、世界平和の手助けになることを祈ろう。『向源』は今年、5月5日(木)まで開催。今後の行方も楽しみにしよう。