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今夏開催の『ヨコトリ』、参加アーティスト第1弾が発表

テキスト:
Satomi Saruwatari
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3年に1度、横浜で開催される国際芸術祭『ヨコハマトリエンナーレ2017(以下ヨコトリ)』。2001年に始まり、今回で6回目を迎える同イベントは、昨今の芸術祭ブームの黎明期にスタートした、大御所のような存在だ。国内外から注目が集まる『ヨコトリ』の2回目の記者会見が先日都内で行われた。宇治野宗輝のパフォーマンス(舞台上に設置された、ミキサーとギター、アンプを組み合わせた装置を使ってバナナジュースを作り、パネラーに振舞った)はすでに多くのメディアが紹介していると思うので、ここでは参加アーティストやチケットの詳細など、注目ポイントを紹介する。

まずアーティストについてだが、例年と比べてだいぶ少ない40組が参加(2014年は65組79人)、うち26組と1プログラムが発表された。共産党政権批判にはじまり、近年は難民問題をテーマにした作品を発表する中国人アーティストの艾未未(アイウェイウェイ)、先日ファッションブランド『MAISON KITSUNÉ』とのコラボレーションで話題になった写真雑誌『TOILETPAPER』を主宰するマウリツィオ・カテランなど、ビッグネームが並ぶ。構想会議メンバーでもあるリクリット・ティラヴァーニャもグループ作品を出展する。やや年齢層が高いという印象を受けるが、コディレクターの逢坂恵理子はそれが狙いだと明言した。「あまり国際展に出たがらない年齢層のアーティストを呼び、小さな個展の集合体のような展示を目指す。鑑賞者に作品の世界観をより深く楽しんでもらえれば」と述べた。

全国各地で開催されるようになった芸術祭だが、逢坂はそれらを2つのタイプに分けることができると考える。昨年開催された『瀬戸内国際芸術祭』や『茨城県北芸術祭』など、自然を全面に押し出す里山型と、美術館など建物内での展示がメインの都市型だ。そして『ヨコトリ』は都市型にあたり、土地の歴史に拠ったコンセプト、テーマを掘り下げるのが特徴だ。実際に参加するアーティストたちも、イベントと似たような段取りで作品を制作、発表するという。参加アーティストの一人として登壇した小沢剛も、横浜に縁が深い歴史上の人物についての展示を行う予定だと発表した。なお、同作は小沢が歴史上の人物を題材に、事実とフィクションを重ねあわせて物語を構築する『帰って来た』シリーズの最新作となる。

(左から)逢坂恵理子、柏木智雄、三木あき子、小沢剛、宇治野宗輝

逢坂と同じコディレクターの柏木智雄と三木あき子からは、イベントそのものとコンセプトについての説明があった。150年前の大政奉還以来、横浜は国内外を繋ぐ窓口として発展してきた歴史がある。土地のコンテクストを読み解きながら、グローバル化やデジタル社会、移民など現代社会が抱える様々な問題と向き合った結果、今回のイベントタイトル「島と星座とガラパゴス」が生まれたそうだ。様々な事柄を想起させるタイトルは、悪く言えばカバーする範囲が広すぎると感じた人も多いだろうが、パネラーの口から頻出した「接続性」と「孤立」というワードを、裏テーマとして頭の片隅に置いておくと、作品を見る際に役に立つかもしれない。総じて理屈っぽい印象を受けたが、自然ありきの里山型と都市型芸術祭の違いのひとつだろう。

宇治野宗輝

チケットは、一般1,800円、学生は1,200円、高校生は800円、中学生以下は無料(前売券は300円引き)。チケット1枚で、横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜市開港記念館の3施設が会期中1回ずつ入場可能となる(入場当日に限り再入場可)。また、同時期に横浜市内で開催されるプログラムをあわせて鑑賞できるセット券も発売される。ギャラリーやアーティストのアトリエがひしめく黄金町で開催される『黄金町バザール2017』と、『BankART Life V』が鑑賞できるお得なチケットだ。そのほかセット券には含まれないが、『ヨコハマ・パラトリエンナーレ』、『ycc temporary 鬼頭健吾』なども同時期に開催される。8月から11月まで、横浜はアート一色となることは間違いない。販売の始まった前売り券を手に入れて、残りのアーティストや関連イベントなどの続報を待ちたい。

ヨコハマトリエンナーレ2017の詳しい情報はこちら

宇治野が作ったバナナジュースを飲むパネラーたち

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