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世界初の同性婚を実現させたボリス・ディトリッヒが渋谷区長と対談

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Time Out Tokyo Editors
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渋谷区のパートナーシップ証明書の交付申請受付が2015年10月28日(水)に開始された。前日の10月27日(火)には、同条例成立の立役者、長谷部健渋谷区長と、オランダにて世界初の同性婚合法化に尽力した元国会議員のボリス・ディトリッヒによる対談が行われた。渋谷区総合庁舎の建て替えに伴い解体前の旧区庁舎にて開催されている『シブヤのタマゴ さよなら区庁舎』の関連イベントとして企画された同対談では、「渋谷の未来の多様性について」と題され、都市におけるダイバーシティとクリエイティビティの関係が焦点となった。

ボリス・ディトリッヒ

はじめに登壇したボリス・ディトリッヒからは、世界におけるLGBTの現状についての要点が述べられた。世界中の人々の人権を守るため各国の状況をモニターしているNGO「Human Rights Watch」のLGBT権利プログラム アドボカシー・ディレクターを務めるディトリッヒは、オランダの国会議員として世界初の同性婚の法律制定に貢献した、LGBT運動を代表する人物のひとり。今ではオランダだけでなく、世界19ヶ国で同性婚に関する法律が制定され日々進展も見られるが、まだまだ人権侵害が続いている地域も多いと同氏は説く。国連加盟国193のうち76ヶ国という4割の国で、同性愛は犯罪とされており、同性への愛の文句を電子メールで送ったというだけで逮捕されたカメルーンの人物の例なども紹介された。

渋谷の未来の多様性について

法的拘束力を持たないことや、交付申請のための書類作成に費用がかかることなど、課題は残されている渋谷区のパートナーシップ証明書だが、オランダでの法律制定までの過程を振り返りつつディトリッヒは、今の渋谷と当時のオランダは似ていると話す。オランダにおいても、国の法律として実現する前段階にいくつかの地方自治体での条例が先行したことで、同性愛者が異性愛者と同等の権利を持つという当然のことが広く市民に認知され、法改正への追い風となった。日本でも、渋谷区に続き世田谷区でも「同性パートナーシップ要綱」が制定されるなど、確実に風は吹きつつあるようだ。

長谷部健

長谷部健区長を交えての対談では、渋谷区の条例が実現するまでの経緯や、マイノリティへの差別を解決することが国際都市となるために絶対必要な通り道であることなどが長谷部から話され、両氏が描く未来のビジョンが確認された。広告代理店での勤務経験もある長谷部は、自身の得意とする民間企業を社会問題解決のために巻き込む重要性を再認識し、ディトリッヒもまたストレートアライ(LGBTの社会運動を支持する異性愛者)による支援が大きな力を持つと強調した。社会学者のリチャード・フロリダがクリエティブシティの条件に挙げている通り、LGBTフレンドリーであること、ひいては多様性を担保できることは都市が創造性を持つための必須条件だ。渋谷から東京がますます面白くなることに期待したい。

長谷部健

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