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タイムアウト東京マガジンにて連載中のローカルレジェンド。この連載では、デコラティブな帽子を被ったアウトサイダーアーティスト「帽子おじさん」や、方南町のヒーロー「ベビーカーおろすんジャー」など東京の街にいるレジェンドたちを紹介している。
今回は、銭湯のペンキ絵師のひとり田中みずきに話を聞いた。田中は、銭湯の減少している近年の状況を見て、この文化を守るために銭湯アーティストになることを決心した。「ペンキ絵師の見習いを始めたころ、日本には私の師匠を含めて2人の専門画家しかおらず、2人とも60代でした。誰かが受け継がなければ、この文化が完全に失われてしまうことになると思いました」。
文化を発展させるために田中は、伝統的な手法を保ちながらも、現代に適した巧妙な変化を加えた作品を作成している。また、毎月4、5軒の銭湯で壁画を描き、若い世代に文化を広げるためのライブペインティングイベントも行う。
なぜ富士山の絵なのかと尋ねると「昔は、富士山を眺めることが大衆的なエンターテインメントののひとつでした。壁画を描く際のルールは、1日で完成させなければならず、事業が沈んでいくことを意味するため夕暮れを描くことはタブーとされています」と教えてくれた。