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今から約40年前に、歌舞伎町の稲荷鬼王神社祭りで偶然出会った黄色の仮面が、新宿の伝説「新宿タイガー」になった。それ以来、もう一人の自分を押し隠し、ど派手な戦闘コスチュームで新聞配達をしている。
ピンク色のファーを被り、様々な動物のぬいぐるみと花飾りを身につけ、音を鳴らしながら自転車に乗っている新宿タイガーを見失うことはまずない。また、映画ファンとしても知られ、本業の新聞配達が休みの時にはたいてい映画館に足を運ぶそうだ。新宿で上映されている映画はすべて鑑賞しているほどなので、映画館の最前列で見かけることもあるだろう。
なぜ新聞配達員は、この装いに行き着いたのか。新宿の街中で彼に足を止めてもらって質問してみた。返って来た答えは、「私の人生はタイガーに始まり、タイガーに終わる」ということだった。衣装について質問してみると、「ラブアンドピース」と答え、こうすることで「今の暗い世の中を少しでも明るくできたら」と説明した。確かに、私たちは日常から逃れる必要があるのかもしれない。午後3時から5時の間に新宿3丁目を歩くことがあったら、新宿タイガーが非日常をあなたに届けてくれるだろう。