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周りの女性の手元が華やかになった、そう感じている人は多いのではないだろうか。無職宣言とも受け取れる長い鉤爪を生やしていたギャルたちはとっくの昔に鳴りを潜め、昨今の女性たちの爪を彩るのはジェルネイルやフレンチネイル、ネイルシールなど多種多様なネイルアートだ。1ヶ月に1回ほどのペースでネイルサロンに通い、好みのデザインに付け替える。東京にネイルアーティストはごまんといるだろうが、「爪作家」を名乗る人はそういないだろう。今回タイムアウト東京がインタビューしたのは、公園やイベントなどで活動する、「つめをぬるひと」だ。そのキャッチーで明快なアーティストネームを聞けば、彼女がただのネイルアーティストでないことは想像するに難しくないだろう。
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アルバムのジャケットや、かき氷、文字など、たった2cm足らずの爪をキャンバスに見立て、自在に絵を描いていく。その器用さは彼女の『twitter』や『instagram』で確認してほしい。そもそも彼女が爪作家として活動を始めたのは2年ほど前。美術系の大学に進んだわけでもなく、最初の就職先は食品系だった。もちろんネイルアートは禁止。その反動か、ネイルが自由な職場に移ってからその楽しさにはまっていった。最初は友人の、しばらくすると公園などで活動を始め、現在は2ヶ月に1度、多いときは1ヶ月に1回のペースで爪塗りイベントを行っている(冬季はなし)。筆者もその評判を聞きつけ、多くの人で賑わう井之頭公園の片隅で密やかに行われたイベントに参加してきた。
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公園入り口の焼き鳥屋、いせやの前で待ち合わせし、案内されたのはベンチの前に広げられた1畳ほどの布の上。ここがつめをぬるひとの即席ネイルサロンというわけだ。靴を脱いで座ると、すぐに施術が始まった。デザインはあらかじめリクエストすることができ、筆者は「秋らしい幾何学模様」を、友人は「パン」をお願いした。仕上がりは以下の通りだ。
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動物や文字、食べ物など、リクエストは様々。参加者は女性だけでなく、足の爪に施してほしいという男性もいたという。また、週1回のペースでライブストリーミングチャンネル、『DOMMUNE』のイベントのビラを描いた爪を『twitter』に投稿しているため、最近は音楽系の注文も増えてきたそうだ。値段は指10本で2000円から。2人で1時間足らずで完成するので、友人を誘って一緒に参加するのもいいだろう。10月1日(土)に上野の宋雲寺で開催されるTera de Marcheに参加するので、気になる人はぜひ足を運んでみては。
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