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世界各地にリゾートホテルを展開するアマンが、2014年12月22日、アマン初の都市型ホテルとなるアマン東京(AMAN TOKYO)をオープン。待望の日本初上陸を果たした。
雄大な自然を感じられる環境と、伝統と先進性を共生させたデザイン、ホスピタリティー豊かなサービスによって利用者を虜にし、各国のリゾートを巡るほどの熱狂的なファンを生み出してきたアマンは、現在までにブータン、カンボジア、中国、フランス、インドネシア、モロッコなどで26軒のリゾートを展開している。そのアマンが27軒目の場所として選んだのは、意外にも金融機関や企業の高層ビルが建ち並ぶ日本屈指のオフィス街、大手町。2013年に開業した複合高層ビル、大手町タワーの33階〜38階だ。現在は予約のみで一部営業を開始している「限定オープン」だが、アマンフリークをはじめとする国内外からの問い合わせで、すでに春までの予約はほぼ埋まっているという。
リゾートなのに大手町?と、多くの人は首を傾げるかもしれない。そう、「東京砂漠」と呼ばれるこの都会の真ん中で極上のリゾート体験ができるとは、なかなか信じられるものではないだろう。タイムアウト東京ではその真相を確かめるべく、2015年春予定のフルオープンに先駆けて行われたプレスビューに参加。「究極の隠れ家」の真価に触れてきた。
33階のエレベーターを降りてまず目に入るのは、日本庭園や縁側をモチーフに取り入れた、開放感あるガーデンレセプションと呼ばれるロビーフロア。夜景をバックにした広々とした空間には、希少な伊達冠石の庭石や季節の花々が配されており、屋内にいながら風の流れを感じられるような趣きがある。
特に目を奪われるのが、日本の障子や行灯をイメージしてデザインされた高さ約30mを誇る天井部の吹き抜け。透過した明かりのような白い光に満ちたスペースは、見上げたまま思わず言葉を失うほどの荘厳さ。贅沢な空間使いに、「さすがアマン」とエントランスから圧倒されてしまう。
客室は、1フロアに21室、35階〜38階の4フロアに計84室を展開。一般的なスタンダードルームにあたる『デラックスルーム』(71㎡)から、角部屋のスイート『コーナースイート』(121〜139㎡)、最も広い『アマンスイート』(157㎡)まで、5種類の部屋がある。室内は、縁側や障子、畳といった伝統的な日本家屋のスタイルを取り入れている一方で、ビルトインのテレビや無線高速インターネットなど、最新のテクノロジーも充実。もちろん、素晴らしい眺望が味わえるのは言うまでもない。写真の『コーナースイート』は、ベッドルーム、リビングルーム、バスルームを備える。
バスルームには、檜の腰掛けや桶、檜の香りのアマン東京オリジナルアメニティが備えられており、室内に爽やかな香りをほのかに漂わせ、リラクゼーションへと誘う。
アマン最大級となるスパ&ウェルネスのエリアは、33〜34階に展開。スパトリートメントでは、眺望を楽しみながらカウンセリングを受けた後、シャワーやパウダーエリアを備えたトリートメントルームで施術を受けることができる。また、同フロアのヨガ、ピラティススタジオでは、バランスドボディ社のピラティスマシンを多数設置。カウンセリングをもとにインストラクターがプログラムを作るマンツーマンのサービスも行っている。また、スカイツリーを望めるフィットネスジムでは、イタリアのテクノジム社の最新マシンを導入しており、ランニングしながらBluetoothやスカイプを利用することも可能だ。
同エリアの中で最もアマンらしさを感じられるのは、天空のインドアプールかもしれない。天井高8.1mの2面ガラス窓を持つ開放的な空間から眺める風景は、よく知るいつもの東京ではなく、遠い国の景色を眺めているような錯覚すら与えてくれる。コンシェルジュが特におすすめと言うのは、サンセットの時間。夕暮れの光がプールに映り込み、室内はオレンジ色の光に溢れ、マジックアワーでしか味わえない感動を与えてくれるという。
さてもう一度、33階のロビーフロアに戻ろう。この場所に開放感をもたらしているのは、天井高だけではない。空間を分断しないワンフロアの造りも、その一翼を担っている。ガーデンレセプションを囲む形で、レストラン、ラウンジ、シガーラウンジ、ライブラリーが配されているのだが、それぞれの空間を明確に区切る扉はなく、各スペースが緩やかに繋がり合っているのだ。こういった場の捉え方にもまた、日本家屋のエッセンスが感じ取れる。
メインダイニングのザ・レストラン by アマンからは、外苑の緑を一望でき、空気の澄んだ日には富士山を望められることも。料理には、国内外から厳選した旬の素材を使ったモダンコンチネンタル料理や、和、アジアの料理などを提供。ベジタリアンコースも用意されている。ディナーコースは13,500円(サービス料別)〜となっており、比較的手頃な料金設定が嬉しい。店内奥に見えるのは1200本を収容可能なワインセラーで、2015年1月現在すでに、世界から選りすぐったワイン300種類を揃えている。
ビルトインのヒュミドール(湿度管理された補完箱)を備えたシガーラウンジ。吸えるのはシガーのみで、煙草は不可。
高くそびえる本棚を備えたライブラリーは、地域の文化とゲストを繋ぐ場所。
夜景を望むバーも、ぜひ訪れておきたい場所だ。新宿の高層ビル群とボトルが重なる様は幻想的でロマンティック。また、紅茶を急須でサーブしてくれるなど、「日本の生活」を取り込むアマン東京の美学がここにも。
この日、ミニコースの最後に供されたデザート。ペストリーシェフはショコラを得意としており、日本No.1ショコラティエにも輝いた経歴を持つ。舌の上でとろけるように広がるフルーツとショコラ、抹茶の味わいは、まさに絶品であった。
建築家ケリー・ヒルが手掛けた6軒目のアマンとなるアマン東京。彼がデザインするにあたりインスピレーションの源としたのは、日本の伝統家屋。彼は、外と中の空間を緩やかに繋ぎ、四季の移ろいを自然に感じられる「縁側」「障子」「床の間」といった伝統的な造作を取り入れ、モダンデザインと見事に融合させた空間を造り上げていた。また、左官職人の挾土秀平による3部作の土壁や、日高理恵子、風能奈々、浅見貴子ら日本の作家による作品など、館内の各所に飾られたアートワークも、その融合に一役買っていると言えるだろう。
館内のバーチャルツアー、いかがだっただろうか?実際に館内を巡ってみると、夜景はもちろん、東京スカイツリー、東京タワー、富士山を一望できるロケーション、和の意匠を取り入れたデザインや細やかに配された室内設備とアメニティ、そして何より圧倒的な空間の使い方に魅了され、東京にいることすら忘れてしまうほどであった。
待望のフルオープンは2015年春を予定。1階のザ・カフェ by アマンも合わせてオープンとなる。また、その土地の自然や伝統文化を感じることを旅のディスティネーションとしているアマンらしく、コンシェルジュでは日本文化の体験もできる『アマン東京ジャーニー』も提案していくという。
都会に浮遊する空中宮殿で過ごすかのような極上リゾートを体験しに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。