Moon Art Night Shimokitazawa
Photo: Odakyu Electric RailwayMoon Art Night Shimokitazawa, featuring Elysian Arcs (2023) by Atelier Sisu
Photo: Odakyu Electric Railway

東京、9月に開催されるアートフェスティバル4選

定番の六本木アートナイトから初開催のTOKYO ARTSCAPESまで

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ここでは、2024年9月に都内で開催されるアートフェスティバルを紹介。今年13回目を迎える一夜限りのアートの祭典「六本木アートナイト」や、「無印良品 銀座」を中心に暮らしとアートを考える「TOKYO ARTSCAPES」など、この秋ぜひ訪れたいフェスティバルををセレクトした。アート巡りと街歩きを楽しむ秋を過ごしてみては。

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  • アート
  • 六本木

商店街や美術館など、六本木の街全体を巻き込んで新しいアートの可能性を発信する「六本木アートナイト」が、2024年で13回目を迎える。 30組のアーティストによる現代アート、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなど約40のプログラムを、よりグローバルに楽しめる夜型イベントだ。

今年は「都市とアートとミライのお祭り」をテーマに、昨年よりも会期を1日延長し、3日間開催。より幅広いコンテンツに出合えるだろう。

今回から、注目のアーティストを選出して展示する「RAN Picks」と、特定の国や地域のアーティストにフォーカスし、プログラムを披露する「RAN Focus」を新設した。

今回は台湾のビデオアートのパイオニアであるユェン・グァンミン(袁廣鳴)に加え、LGBTQをテーマとしたパフォーマンスなどを行うウォーターメロン・シスターズ(西瓜姉妹)らが参加する。

ほかにも、空中演技専門の吉田亜希による金魚をテーマにした現代サーカスパフォーマンスをはじめ、国際的に高い評価を得るアーティスト、田名網敬一の初の大規模回顧展など、多様なプログラムが楽しめる。

東京ミッドタウンや六本木ヒルズ、森美術館などエリア別で異なるテーマの企画があり、常に刺激的だ。 プログラムは無料で楽しむことができるが、一部の美術館企画展は有料。

詳しいプログラムやイベントのスケジュールは公式ウェブサイトからチェックしてほしい。

  • アート
  • 下北沢

下北線路街周辺で、今年の十五夜に「月」をテーマにしたアートフェスティバルを開催。エリア内では、アーティストやクリエーターによる自主企画および作品の展示を行う。2023年は約40万人が来場した。

イギリスで活動するアーティストのルーク・ジェラム(Luke Jerram)によるNASAの月面写真をベースとしたインスタレーション作品と、オーストラリアを拠点とするアーティストのアマンダ・パーラー(Amanda Parer)のウサギをモチーフにしたバルーンアートが、昨年に引き続き同企画のシンボルとして屋外に設置される。

今年から新たに加わるのは、シドニーを拠点とするデザインスタジオ、アトリエ シス(ATELIER SISU)だ。ムーンボウ(月光から生まれる虹)を思わせるカラフルなインスタレーション『Elysian Arcs』がボーナストラックの隣接駐車場に展示される。

無料のアート展示のほかに、下北沢駅周辺のショップでは、月やウサギにちなんだ食べ物や飲み物、期間限定商品が販売される。ワークショップやポップアップショップ、映画などの企画も行われるので、公式ウェブサイトで詳細をチェックしてほしい。

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  • アート
  • 銀座

「無印良品 銀座」を拠点に、周辺の街へと場を広げ、暮らしにアートを取り入れる「日常芸術」を創造するアートイベント「TOKYO ARTSCAPES」が初開催。展示・パフォーマンス・フェア・リサーチと4つのセクションを通じて、日常を文化的に「そうぞう」させる多様なコンテンツを展開する。

アトリエ ギンザ ムジ ギャラリー」は、 福岡にあるヨーロッパのアンティーク家具を取り扱う「クランク マルチェロ(krank marcello)」の展覧会を開催し、文化を視覚から捉える。ライブ感のある表現を肌で体感するセクションとしては、東京国際フォーラム」で、サーカスのようなパフォーマンスグループによる「仕立て屋のサーカス」を上演する。

そのほかにも、ギャラリーとインテリアショップを組み合わせたブースを設置するキュレーションフェアや、研究者やアーティストとともに銀座周辺を探索し、街特有の魅力を再発見していくワークショップなどが行われる。

アート・文化・暮らし・街歩きと秋にぴったりの本イベント。各会場の入場時間・チケット情報については、公式ウェブサイトを確認してほしい。

  • アート
  • 渋谷

渋谷・原宿周辺で、2017年から毎年開催されている世界最大規模のピクセルアートの祭典「SHIBUYA PIXEL ART 2024」が開催。「Bit Valley, Bit Flowers」をテーマに、総勢100人以上のピクセルアーティストやライブパフォーマーが参加し、企画展・フェア・トークショー・音楽ライブなどの全10本のプログラムが展開される。

今年は、9月に開催される世界最大級のゲームの展示会「TOKYO GAME SHOW 2024」の開催に合わせ、過去最大規模となる。

「ピクセルアートコンテスト」の受賞ノミネート作品およそ50点が、渋谷・原宿周辺100カ所のデジタルサイネージや巨大スクリーンに登場し、ピクセルアートで街を彩る。また、コンテスト授賞式は、2024年9月29日(日)に、「渋谷サクラステージ」の「ヨンマルヨンノットファウンド(404 Not Found)」「リ サーチ(re-serch)」で行われる。

会場はそのほかに、「サックス(SACS)渋谷」「オールデイプレイス渋谷(all day place shibuya)」2階、「東急プラザ表参道(オモカド)」など、全7会場だ。オリジナリティーあふれるピクセルアートの祭典で、お気に入りの作品を見つけてみては。

各会場のチケット情報・開館時間・休館日はそれぞれ異なるので、公式ウェブサイトを確認してほしい。

もっとアート巡りをするなら……

  • アート
  • 竹橋

テクノロジーの登場は、美術の歴史に大きな変化をもたらした。ビデオやカメラの普及もその例外ではない。最新の機器を巧みに手にし、社会に問いを投げかける発信者となった女性アーティストたちは、どのようにして自身の違和感を記録し、メッセージを発信したのか。

「国立近代美術館」で開催される「フェミニズムと映像表現」は、1970年代から現代までの女性作家による映像作品を4つのキーワードに分けて紹介する。フェミニズムと映像作品というテーマを通じて、時代によって移り変わる女性と映像の関係を丁寧にひもといていく。

展示作家には、テレビの料理番組をパロディー化した『キッチンの記号論』で家庭内労働や家父長制への違和感を示したマーサ・ロスラー(Martha Rosler)や、都市の雑踏の中で直立不動に立ち、自らを異質な存在として際立たせたキムスージャ(Su ja Gim)をはじめ、塩田千春、ジョーン・ジョナス(Joan Jonas)、出光真子など、フェミニズムと映像を語る上で欠かせないアーティストたちが名を連ねる。

自分の体や存在を取り戻すことを試みた女性アーティストたちの作品を通じて、現代におけるフェミニズムの新たな視点を考察する機会となるだろう。

  • アート
  • 六本木

江戸を拠点に独自の風俗画を描いた絵師、英一蝶(はなぶさ・いっちょう・1652〜1724年)の没後300年を記念した企画展が、六本木の「サントリー美術館」で開催される。最新研究を踏まえた過去最大規模の大回顧展だ。

菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、ユーモアあふれる戯画から、狩野派絵師としての高い技量をうかがわせる謹直な作品まで幅広く描いた一蝶の活動を、包括的に紹介する。特に注目したいのが、近年発見され、本邦初公開となる仏画「釈迦十六善神図」で、非常に精巧で美しい名品だ。また、「多賀朝湖(たがちょうこ)」と名乗っていた時代に描かれた「雑画帖」が、一蝶展で初めて三十六図全て展示される。

本展を通して、一流絵師としての一蝶の画業をたどりながら、俳諧師であり、吉原の遊郭で宴席を盛り上げる太鼓持ちでもあったユニークな人となりにも触れてほしい。

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  • アート
  • 用賀

20世紀に活動した革新的な画家、北川民次(1894〜1989年)の生誕130年を記念する展覧会「北川民次展―メキシコから日本へ」が「世田谷美術館」で開催される。20歳で渡米した北川は、キューバを経由してたどり着いたメキシコで新進画家・教育者として活躍。その後、メキシコで盛んだった「壁画運動」に影響を受け、メッセージ性の強い作品を生涯を通じて作り続けた。

はっきりとした輪郭線、簡略化された細部、デフォルメされた形態、そしてシンプルな構成が特徴で、社会に対する北川の鋭い視線が画面に常に注がれている。帰国後は、東京・池袋を経て愛知・瀬戸に居を構え、陶器生産の活気溢れる瀬戸の人々とその生活を終生温かく見つめ、共感を持って描いた。一方、絵画を通して社会批判をする先駆的な画家として一つの道を切り開き、安保闘争や公害問題などの多くの問題を議題とした作品制作に挑み続けた。

約30年ぶりの回顧展となる本展では、北川の油彩約60点、水彩、素描、版画など約50点に加え、1920~30年代メキシコの多様な芸術動向に関する資料や当時交流した芸術家たちの作品も展示される。北川の軌跡を多角的に紹介する本展で、彼の芸術とメッセージを再発見してみては。

  • アート
  • 府中

「府中市美術館」で、アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ(Alphonse Mucha、1860〜1939年)を特集する展示「アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界」が開催。版画や油彩画をはじめ、貴重な下絵などを公開する。

ミュシャは、世紀末パリを鮮やかに彩るポスターの数々を生んだデザイナーであり、壮大なテーマを重厚な油彩で表した画家だ。2つの顔を持つ芸術家であると捉えられているが、その両方に共通しているのは、どんな素材を扱っても「ミュシャ風」にする圧倒的な造形力である。本展では、そんなミュシャ最大の魅力である造形の力を解き明かしていく。

なお、期間中の2024年10月12日(土)~14日(月)は「市民文化の日」のため、誰でも無料で観覧ができる。ミュシャファンは見逃さないように。

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  • アート
  • 六本木

「アートは心の健康を保証するもの」という言葉を遺した、女性彫刻家のルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)。六本木ヒルズのシンボルとも言える、クモのパブリックアート『ママン』の作者であり、没後もなお世界各地で注目されているブルジョワの大規模個展が「森美術館」で開催される。

パリに生まれ、抑圧的で男性中心主義的な父親が支配する複雑な家庭環境で育ったブルジョワは、結婚を機にニューヨークへ移住。40代から本格的に彫刻制作に取り組んだ。

家族についてや女性であること、男性への恐れ、母や子どもへの愛情など、自身の複雑な感情や苦悩を創作活動へと昇華させていった。ブルジョワの展覧会が国内で開催されるのは27年ぶり。しかも今回は、20代後半から30代に手がけていた絵画作品がアジアで初公開される。

98歳で亡くなるまで創作活動を続けたブルジョワの半生を、じっくりとたどってみよう。

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