「このフェスティバルには様々な要素が詰まっています」と広報担当者は語る。「ここで暮らす人々を励ますと同時に、経済効果ももたらしたいと考えています。被害は甚大でしたが、地域の復興をアートと音楽の力を通じて支援できるのではないかと考えています」と続けた。「地元の方々からは、とにかく多くの人々に東北へ来てほしいという、生の声を聞くことができました」。
『リボーンアートフェスティバル』は、東北で芸術祭を開催すれば、長期にわたり良い影響を地域にもたらすだろうという、明治大学の特任教授の中沢新一の構想を下敷きにしている。
中沢は、フェスティバル開催の目的は、テクノロジーや経済、環境といった様々な側面から、東北の人々の生活を変えていくことにあるという。「東北は『元の状態に戻るという意味での』復興をするべきではなく、何か新しいものを生み出すために前進しなければなりません」。「フェスティバルは、東北がその潜在能力に目覚め、一歩前進する手助けとなることを目指しています」と力を込めて語った。
『リボーンアートフェスティバル』は、音楽プロデューサーで社会活動家の小林武史がいなければ実現していなかっただろう。小林は日本の人気ポップロックバンドのMr. Childrenの元プロデューサーとして知られる。2003年、小林はMr.Childrenはじめ複数のアーティストとともに、環境保全に取り組む団体に融資を行うAPバンクの設立資金を提供した。
APバンクは、津波で地盤が1.2メートルも沈下してしまった石巻での慈善復興事業に既に着手していた。同組織の活動が中沢の構想と合わさるのは、必然と言っても良いできごとだった。これらの人のつながりの総仕上げとして、Mr.Childrenの桜井和寿をボーカルに起用する小林のBank Bandが、同フェスティバルの主役を務める。
今回のイベントは今回のイベントは石巻市を中心に、周辺の地域で開催される。なかには高さ15メートルの津波で建物の70パーセントが倒壊した、女川の漁港も含まれている。