ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
画像提供:ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
画像提供:ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

東京、 7月に上演する注目のミュージカル&演劇6選

横田栄司の復帰作「オセロー」からNODA・MAPの新作まで

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暑い日が増えて野外での活動がおっくうになる季節。そんな日は、心踊るミュージカルや観劇を楽しんでみては。ここでは、東京都内で2024年7月に開演する注目のミュージカルと演劇を6つ紹介しよう。

今月は、横田栄司の復帰作「オセロー」をはじめ、野田秀樹の新作舞台「正三角関係」韓国ミュージカルアワード主要部門3冠に輝く傑作ミュージカル「ラブヘスト」、トニー賞をはじめ、世界80以上の演劇賞を席巻、1000万人以上が熱狂した最高傑作「ビリー・エリオット」など注目の作品ばかりだ。

人気作品は、チケットがすぐに完売することも多い。気になったら早めにチェックしてみてほしい。

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主人公オーランドが、時代も国境もジェンダーも飛び越えて、数奇な運命に立ち向かい、真実の「私」を模索していく。

20世紀モダニズム文学を代表する作家の一人であるヴァージニア・ウルフによる小説で、これまでさまざまな翻案で舞台や映画が生み出されてきた人気作を、今回は演出家・栗山民也の原案、詩人・岩切正一郎の翻案で舞台化し、現代に甦らせる。

あらゆる女性をとりこにする美貌の青年貴族・オーランド役には、宮沢りえ。2012年の朗読『宮沢賢治が伝えること』以来、栗山と本格的に初タッグを組む。 オーランドを取り巻く数多の人々をウエンツ瑛士、河内大和、谷田歩、山崎一の4人で演じ分ける。

16世紀のイングランドに生まれた青年貴族オーランドは、 ある夜から眠り続け、7 日目に目を覚ますと女性に変身していた。16 世紀から20世紀まで激動の時代を超えて360年生き続け、数々の運命の人々に出会い、自らを探し続ける。

「無限の怖さを感じ震えてもいる」というオーランド役の宮沢りえはコメントで、「今までにない大きな挑戦。プレッシャーをエネルギーに変え、舞台に臨みたい」と意欲を語る。

「《真実の私》の姿とは」という大きなテーマがヴァイオリン演奏の美しい音色とともに軽やかに描かれる。現代に生きる私たちにも響くシーンや台詞を堪能しよう。

7月5日(金) ~ 7月28日(日)
PARCO劇場

2024年で創立87年を迎える文学座で、鵜山仁が挑むのは、シェイクスピアの「四大悲劇」の一つである『オセロー』だ。2023年には『夏の夜の夢』『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』などを手がけ、これまで数々のシェイクスピア作品を舞台化してきた。

タイトルロールを演じるのは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の和田義盛役でも知られる横田栄司。2022年秋に休養を発表して以来、2年ぶりに舞台に復帰する。デズデモーナは、ミュージカルの世界で活躍するsaraが演じる。

ヴェニス公国に仕える将軍・オセローは、忠臣イアーゴーの策略により妻デズデモーナを殺害、破滅へと追い込まれていく…。嫉妬、疑念、そして愛が衝突した時、人は一体どこへ向かうのか。

「登場人物たちのエネルギーのぶつかり合いが、荒唐無稽なほどハイレベル」と鵜山が分析するオセローとデズデモーナ、彼の嫉妬をあおる部下イアーゴーのやりとりは、常軌を逸した「スーパー漫才」と述べており、悲劇でありながら喜劇とも感じさせるシェイクスピアの世界観がいかに構築されるか、見どころである。

6月29日(土)~7月7日(日)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

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トニー賞をはじめ、世界80以上の演劇賞を総ナメにし、1000万人以上を動員した空前の大ヒットミュージカルが日本で再び上演される。

1980年代のイギリスの炭鉱町でプロのバレエダンサーを目指す主人公、ビリー・エリオットを描いたこの物語は、2000年に公開されたヒット映画『リトル・ダンサー』をエルトン・ジョンの音楽でミュージカル化したもの。映画版の監督スティーヴン・ダルドリーが舞台版でも演出を手掛けた。

日本では、2017年の初演で、4カ月にわたる東京・大阪でのロングラン公演を成功させ、菊田一夫演劇大賞や読売演劇賞選考委員特別賞など多くの演劇賞を受賞している。

4年ぶりの上演となった今回は、1375人の中から選ばれた、浅田良舞、石黒瑛土、井上宇一郎、春山嘉夢一の4人のビリー・エリオットが誕生。お父さん役には、益岡徹と鶴見辰吾、ビリーにバレエを教えるウィルキンソン先生役には、安蘭けいと濱田めぐみのダブルキャストと、豪華実力派キャストが結集した。 

不況に喘ぐイギリスの炭鉱町に住むビリー少年は、バレエに出会い才能を見出されるが父親に反対される。諦めきれないビリーの夢が、やがて寂れた炭鉱町を動かしていく......。

11歳前後の少年にしか演じられないビリー役、4人の少年の人生一度きりの挑戦に涙せずにいられない。


7月27日(土)~10月26日(土)
東京建物Brillia HALL

2024年韓国ミュージカルアワードで作品賞、脚本賞、音楽賞の三冠に輝く傑作ミュージカルが日本で初上演される。主人公、随筆家であり画家、評論家であったキム・ヒャンアンは、イ・サンとキム・ファンギという二人の天才の妻として知られる。

本作は、夭折(ようせつ)した天才詩人「イ・サン」に出会った20歳の時間と、韓国抽象美術の巨匠「ファンギ」に出会い余生を共にした時間が舞台の上に切なく広がる。

キム・ヒャガン役は、初めての韓国ミュージカル・主演・訳詞と、初づくしのソニン。キム・ファンギ役にはダンスボーカルユニットLeadの古屋敬多、イ・サンを相葉裕樹、イ・サンと恋に落ちる若き日のヒャガンであるピョン・トンリムを山口乃々華と、個性豊かなキャスト4人により、キム・ヒャガンの生きた軌跡を切なく綴(つづ)る。

演出は、2022年の読売演劇大賞で優秀演出家を受賞した稲葉賀恵。本格ミュージカル初演出となり、「美しく暖かく刹那的な感情を「芸術」を通して体験してほしい」と意気込みを語っている。

人生の選択のたびに自分と向き合い成長していくヒョンガンの姿から温かい応援のメッセージを受け取ることだろう。

7月18日(木)~7月28日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト

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「正しい」とは?「三角関係」とは?その正体をテーマに野田秀樹が放つ新作舞台が幕を開ける。

ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』をモチーフに、とある時代の日本の花火師一家による父殺し。サスペンスが繰り広げられる。三兄弟は、長男が花火師。次男が物理学者。三男は聖職者。一人の「女」をめぐり、長男と父親が三角関係に陥り、「父親殺し」へと発展する......。

長男を演じるのは、NODA・MAPに初参加する松本潤、物理学者の次男は、NODA・MAP3作目となる永山瑛太、聖職者の三男は『THE BEE』でNODA・MAP番外公演を経験している長澤まさみ、という豪華な顔ぶれに期待が高まる。

「いつかNODA・MAPに参加できたら」と思っていたという松本は、野田から話を聞いたその場で二つ返事で快諾したという。

NODA・MAPの新作公演は、幕が開くまで物語の全貌が明かされない。野田が「この作品のために生まれてきた3人」と賞する座組。「この3人だったら、それぞれの役を膨らませてくれるであろう、それは予感に近い」という野田の演出に期待したい。

7月11日(木)-8月25日(日)
東京芸術劇場プレイハウス

後藤ひろひと×ウォーリー木下の初タッグにより、ダークファンタジーの傑作をミュージカル化。2002年、2005年、2015年と上演を重ね、観客を魅了してきた伝説の舞台が新たに生まれ変わる。 

ユーモアと切なさと残酷さが混じり合った、ケルト民話を思わせるファンタジックな世界観の中、哀しくも美しい恋の物語が生まれる。

中世のアイルランドを思わせる地に旅行中の聡と真奈美は霧のために立ち往生してしまう。一夜の宿を探し辿り着いたある老人の住み家。不思議な老人が語る昔話に、だんだんと心を奪われていくが......。

物語の世界の街に住む「カビ人間」役には、ミュージカル『ハル』や舞台『いまを生きる』などのTravis Japanのメンバー七五三掛龍也が務める。

物語の世界に迷い込む「聡」役には、同じくTravis Japanの メンバーで、ミュージカルへの出演が初となる吉澤閑也、おさえ役に伊原六花、真奈美役には加藤梨里香と新鮮な顔ぶれがそろった。

『恐竜と隣人のポルカ』など個性際立つ登場人物を描き、観客を異世界に誘ってきた後藤作品を、ミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』はじめ、ミュージカル、ストレートプレイなど幅広く手掛ける木下が脚色・演出する。

「ミュージカルにしたいと言ったのは僕」という木下は、その魅力をこう表現する。「驚くほどにくだらなくて温かく、そしてグロテスクで美しい舞台」。音楽および音楽監督は、ケルト音楽にも造詣が深い中村大史が担当する。時を超えて胸を打つ、笑いと恐怖と感動のエンターテイメントに、この夏没入してみては?

7月3日(水) ~7月10日(水)
東京国際フォーラム ホールC

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