『Machine Hallucination - Space, ISS, Hubble』(レフィーク・アナドール)
人類がテクノロジーへの依存を高めていく中でふと未来について考えた時、シニカルな気持ちになるのは簡単なことだろう。多くのアーティストは、高度な機械が人類を追い越すというディストピア的なビジュアルで、未来の姿を探ってきた。しかし、トルコのイスタンブールに生まれたメディアアーティスト、レフィーク・アナドールの作品は一味違う。データや機械知能と共に進化する我々の関係性を楽観的な視点で捉えているのだ。
2018年から現在まで、アナドールがNASA Jet Propulsion Laboratoryとコラボレーションしてきた経験と、長年続けてきた宇宙探査の写真の歴史にまつわるリサーチに触発されたこの作品は、200万枚以上の宇宙と地球の画像が活用されたデータスカルプチャー。データと情報技術とで作り上げた合成現実を通して、機械と人工知能(AI)の可能性を再評価するよう鑑賞者に促している。