1. 132点の未公開作品
草間彌生の膨大なコレクションの中から選りすぐり、約132点の作品を日本で初公開する。2009年より草間が猛烈な勢いで取り組む「わが永遠の魂」シリーズ、500点にも上る作品群のなかから厳選したものを展示する。草間が1点の作品にかける時間は5日以下だと国立新美術館の南雄介は見積もっている。同シリーズは草間が70年にわたるアーティスト人生で経験したことや成し遂げたことの集大成とも言える、と南は語る。これは見逃すわけにはいかない。
テキスト:Matt Schley
草間彌生、あの赤い水玉模様の彼女が、大規模個展『わが永遠の魂』とともに東京に帰ってくる。この展覧会は2017年5月22日(月)まで、六本木の国立新美術館で開催される。行列必至と言われる展覧会の魅力、なぜ行くべきなのか。5つの理由をここに挙げてみよう。
草間彌生の膨大なコレクションの中から選りすぐり、約132点の作品を日本で初公開する。2009年より草間が猛烈な勢いで取り組む「わが永遠の魂」シリーズ、500点にも上る作品群のなかから厳選したものを展示する。草間が1点の作品にかける時間は5日以下だと国立新美術館の南雄介は見積もっている。同シリーズは草間が70年にわたるアーティスト人生で経験したことや成し遂げたことの集大成とも言える、と南は語る。これは見逃すわけにはいかない。
芸術家としては70年だが、草間自身は2017年3月に88歳になる。この展覧会は1939年、10才の時に描いた名前のないスケッチから始まり、彼女の全キャリアを追ってゆく。草間の故郷である松本時代、ニューヨーク時代、そして東京時代と、3つの大きな時代に区分され、彼女の代表的作品である「無限の網」、男根をモチーフにした像、そして美術館の外にも飾られている草間の代名詞とも言える赤い水玉なども展示される。見れば「わが永遠の魂」を包括的な作品と言うことはできないだろう。
渋谷のスクランブル交差点でセルフィ―?そんなことをするのは、まるで2016年から抜け出せないでいるようだ。草間の巨大な花の像の前で自撮り?そうこなければ。最近の著名な芸術家の展覧会には珍しく、『わが永遠の魂』では携帯での撮影が許可されている(本物のカメラは厳禁)。この試みはすでに功を奏しているようで、展覧会が始まってからまだ数日だが、『Instagram』や『Twitter』ではもう既に数え切れないほどの写真が投稿されている。とはいえ、写真撮影はメイン展示ホールでのみ可能なので注意してほしい。
会場に入ると、入場者は有料で展覧会の音声ガイドをレンタルできる。ナレーションによって作品をより深い視点から観ることができるだけではなく、この音声ガイドには草間へのインタビューも含まれている。たとえ日本語が分からない人でも、87歳の伝説的芸術家の熱のこもった声を感じ取ることできれば、ヘッドフォンを付ける価値は十分にあるだろう。さらに特筆すべきは、時折彼女の歌声を聞くことができることだ。
どんな展覧会も土産なしに終わることはできない。しかし、この展覧会が草間彌生のものであるなら、それはなおさらだ。数々の土産のなかでも飛ぶように売れていたのがトートバッグと、草間に似せた水玉模様のかわいらしいぬいぐるみだ。
熱狂的な草間ファンにとって注目なのは、展覧会の公式カタログ。300ページもある分厚いカタログには、展示されている『わが永遠の魂』の全132点の作品が載せられている。さらに草間の全作品の写真や複製、網羅的な伝記、そして彼女自身と批評家による書き物なども日本語と英語で楽しめるようになっている。これを持ち帰るために丈夫なカバンを持っていくことを忘れないようにしたい。
『国立新美術館開館10周年 草間彌生 わが永遠の魂』の詳しい情報はこちら
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