これだけ過去を参照できる時代、自分なりのスタイルを構築するのは何事でも難しい。それは音楽においても同様だが、類家心平ほどの個性を持つ日本人トランペット奏者がほかにいるだろうか。
その演奏には典型的なビーバップのフレージングが少ない。しかし静なるミュートプレイ、動なるオープンプレイ、どちらの雰囲気もブーストさせるエフェクト使い―。彼の音は明らかにジャズであり、抽象的な概念「ジャジー」はサウンドやアティチュードで十分担保できるのだと我々に理解させてくれる。
類家のリーダーバンド「RS5pb」は、ロックの粗々しさで生み出した混沌(こんとん)を、美しいバラードで浄化するようなパフォーマンスが特徴だ。老舗「新宿ピットイン」で行われる本公演は最新アルバム『TOTEM』のリリースツアー、そして香港のフェス「FREESPACE JAZZ FEST」を経た彼らの演奏に期待したい。
※19時30分〜/料金は3,300円(1ドリンク付き)