2014年にロンドンで最初の展覧会を行った『ボーン・ミュージック プロジェクト』が、アジア初の企画展を行う。ボーン・ミュージックとは、冷戦時代のソビエト連邦で密かに生み出された、涙ぐましい音楽の記録である。
すべての文化が国家によって検閲され、規制されていた当時、アメリカのジャズやロックンロールと一部のロシア音楽は、聴くこと自体が禁止されていた。そうした時代にあっても音楽への欲求を抑えられなかったファンたちは、病院で不要となったレントゲン写真に自作のカッティングマシーンで音楽を録音し、「ボーン・レコード」を製作した。ボーン・ミュージックは、国家に抵抗するソ連の音楽ファンたちが生み出した、アンダーグラウンドカルチャーでもあったのだ。
今回の展覧会では、本展キュレーターであるスティーヴン・コーツとポール・ハートフィールドのボーンレコードコレクションを中心に、録音機として使われたカッティングマシーンも展示される。会場のBGMは、実際にボーン・レコードに録音された当時の音源が流される。