いかにも大阪の下町という此花の住宅地を抜けると、市内では珍しい漁港が現れる。その伝法漁港に隣接するのが「てっちり 克政」だ。ここは6,050円(税込み)からさばきたてのフグをコースで堪能できる、知る人ぞ知る「てっちり」(フグの鍋料理)の名店。のれんをくぐれば、底抜けに明るいおかみさんが出迎えてくれる。
まず、てっさ(フグ刺し)の歯応えに思わず「おっ」とうなる。カリッと揚がった唐揚げもとてもジューシーで、追加注文が多いという。鍋の具材が運ばれてきて、人気の理由が分かった。ここで出されるフグは鮮度抜群なのだ。それゆえに、鍋用の身は1切れずつ鍋にサッとくぐらせ、表面が白くなったくらいで食べるのがこの店のおすすめである。
手づくりのポン酢は、徳島県・木頭産のユズとスダチを使用した果汁100%。酸味と甘みのバランスが絶妙なそのポン酢が、フグの味わいをグッと引き立てる。
そして、てっちりのシメといえばやはり雑炊だが、この店のは一味違う。一般的なものよりかなり多めのだしを使用し、ただひたすらかき混ぜ続けるのだ。おかみさんと楽しくおしゃべりしながら待つこと約15分。たっぷりとだしを吸い、かつごはんの粒がつぶれることなく仕上がった、極上ふわとろ雑炊の出来上がり。これならおなかがいっぱいでもペロリといけてしまう。
夏場(6〜9月ごろ)限定で楽しめるハモのコースも必食。不定休のため、訪れる際は事前に店に確認をしておこう。