街のダイニングシーンを成長させようというシェフの鳥羽周作の情熱は、決してとどまることを知らない。2018年の夏、代々木上原の人気レストラン「グリ(Gris)」は、シェフとしてだけでなく、経営者としての鳥羽の先進的なスキルとアイディアで全く新しいレストラン「シオ(Sio)」に生まれ変わった。
腕の立つ若いシェフやソムリエたちとチームを組み、日本料理とフレンチが見事に融合した、シオでしか味わえない料理の数々は絶品だ。彼の看板メニューのフォアグラのムースとマカロンは今回もコースの一員であり、特製のプレートを携えて提供される 。
ディナーは11品のコース料理で編成される。一つ一つの料理に季節の食材を使い、目でも舌でも楽しむことができる。ワインを飲まない人向けにティーペアリングのオプションもあり、ワインに引けを取らないほど各料理と完璧にマッチしたさまざまな台湾茶が添えられる。
シオでは若手のシェフたちが 厳しい労働環境の中、低賃金で働くという従来のレストラン業界の給与制度を廃止し、シオ自体から得た収益は全てレストランスタッフの給与に還元するという仕組みを作り出した。
さらに、もう一つの新しいテーマは国内のアーティストやプロデューサーとのコラボレーションだ。食品サプライヤはもちろんだが、 シオに賛同したさまざまなアーティストが、シオのためだけの特別な作品を提供している。コラボレーションしたのは、ロゴ制作を担当した「good design company」の水野学、テーブルウェア全般を「PRODUCT DESIGN CENTER」の鈴木啓太、店内BGMは沖野修也という豪華なメンツが揃う。
食材、使っていて気持ちの良いおしぼり、トイレ用のアロマなど、鳥羽と彼のチーム自らが細部の品質にこだわり、 選び抜いたものがそろう。「料金は決して手頃とは言えないが、レストランを形成するその他全ての要素を反映させた料金にしている。」と鳥羽。その店のクオリティーを評価する顧客や人々と、共に成長して行けることがレストランの理想的な様式であり、この方法で業界を次のレベルに発展させたい、と語る。しばらくこのシェフからは目が離せなさそうだ。