寛政元(1789)年に創業し、麻布十番に本店を構える老舗そば屋。明治時代には皇后や宮家などにも出前を届けていたという、歴史ある人気店だ。そばが一般に食べられるようになった江戸時代初期は、そば殻や甘皮が多く混ざっていたため、黒いそばが主流だった。生地に弾力がなく、舌触りも粗かったそうだ。
同店では、そば本来の味を楽しめる殻ごと引き込んだ手びきの粉を混ぜた色の濃いそばのほか、そばの実の芯の部分だけを用いて打つ真っ白なそばを用意。太めの麺や季節によってユズ、ヨモギ、カボチャなどの風味を生地に練り込んだそばも提供する。
シンプルな『もり』(870円から)を注文したいところだが、『鴨せいろ』(2,040円)、『納豆そば』(1,540円)もおすすめだ。『鴨南蛮』(2,040円)や定番の『天ぷらそば』(1,990円から)など、温かいそばメニューも充実している。