江戸時代から続く材木商の旧店舗・住宅主屋で喫茶が楽しめるのは、神田明神の隣にある「神田の家 井政」だ。ここは徳川家康による江戸城築城の際に、材木商として鎌倉材木座から呼び寄せられた遠藤家の店舗兼家屋である。関東大震災後に再建され、2009年に千代田区有形文化財に指定された。
建物には現在では入手困難な屋久杉や霧島杉などの銘木がふんだんに使われており、木の板を編んで作る網代天井や外壁の江戸黒漆喰など、建物の至るところに伝統的な江戸の職人技が垣間見える。
建物全体の公開は年に数回に限られるが、商談に使用していたという土間と庭はカフェとして一般に開放されている(展示準備などで臨時休業することもあるため訪問前に要電話確認)。江戸の文化や商家の暮らしぶりを間近で体験できる場所は都内でも希少。ぜひ足を運んでみてほしい。