大土橋真也の発想はビッグだ。中目黒の川沿いに店を出してから1年、若いシェフは、驚くほど独創的で概念的な料理で客を魅了してきた。パンのペアリングや色の計算、すべての食材を1つの都道府県産でそろえるなど、計算され尽くした大土橋の料理は、フォークで突いただけで、アート作品に落書きしてしまった気にさせられる。
壁にはエッフェル塔と東京タワーを『フォトショップ』で一つの建物に加工した独特のコラージュが飾られ、ワイルドさと統制された実験が融合する、店の雰囲気を象徴している。『ニソワーズ サラダ』はイワシの刺身、ワカモレ、トルティーヤと共に盛り付けられ、チキンとマッシュルームのタルトは、光る卵の黄身と千切りされた紫芋、赤ワインのパンと提供される。
料理から食器まで、完璧な状態で出される料理は、見た目はもちろん味も素晴らしい。かつて恵比寿のジョエル ロブションで経験を積んだシェフが創造する料理を16,500円の値段で食べられるなら、むしろ手頃と言えよう。もし春に訪れるなら、早めの予約を勧めたい。目黒川に面した店の大きなガラス窓からは川沿いの桜がとてもよく見えるのだ。