アートと音楽が楽しめる世田谷のカフェ
住宅とお洒落な店がひっそりとひしめき合う場所に、そのカフェはある。「“Chubby” baby(ぽっちゃりとした赤ん坊)」が人の心を癒やすように、店内には利用者を癒やす工夫がある。オープンは2005年。元美術館館長の高木ひろしが、ほこりをかぶっていた倉庫を、心地よいソファーのある、ゆったりとしたカフェへと変身させた。訪れた人が心からリラックスできることが、この店のコンセプトだ。
日本でレストランの接客業に携わった高木は、その後2年間に渡りロンドンのアートギャラリーに在籍した。帰国後、「アート、音楽、食事が同時に楽しめる空間を作りたい」という考えのもと、このカフェをオープンさせた。日本では、「美術館は美術愛好家だけのための場所」という風に考えられがちなのに対し、Chubbyは、誰でもアートを楽しみ、気に入れば購入することもできる店だ。
全国各地にいる様々なアーティストに対し、作品展示の場を無償で提供している。展示期間には特別なイベントを組み合わせる配慮も怠らない。このため展示を希望するアーティストも多く、スペースである壁を確保するには、最低1年の予約待ちとなっている。 店内の装飾は、壁に掛けられたアートが際立つようにと控えめだ。どのような相手と店を訪れようとも、展示されているアートは話の種になるだろう。
若いファミリー層、学生、社会人など、店の客層は幅広い。カウンターとテーブル席があり、店の一階にはベビーカーや車イスを置くスペースも確保されている。子供連れが訪れやすいように、お絵描き用のペンと紙の用意もある。
アットホームな雰囲気を保つため、店のメニューは一捻りある家庭料理がメイン。コルドンブルーで修業を積んだシェフが作りだす料理は、見た目も味わいも抜群なのは言うまでもない。野菜は全て栃木の無農薬農家から、肉と魚は地元の専門店から仕入れている。ランチは1000円札1枚で、日替わりランチスペシャルか、キッシュプレートが楽しめる。ディナーのア・ラ・カルトは、一品400円から1200円の価格帯だ。
親切なスタッフ、気の利いたメニュー、そして店全体のコンセプト、これらが揃った店の雰囲気は言うまでもなく心地が良い。使った料理油はロウソクにリサイクルして販売するなど、環境への配慮も忘れていない。また、Chubbyのタンブラーを購入すれば、水が無料で提供される。
夜は混雑している場合が多い。特にイベントのある週末などは、空き状況を電話で確認することを勧める。 喫煙可能。
By Samantha Loong