立石駅から歩いてすぐ、アーケード街の中にある丸忠かまぼこ店は、隣接するかまぼことおでん種の専門店と同系列の小さな酒場。店内はコの字型カウンターに、4人がけのテーブル席が2つのみ。半オープンエアとなっており、まるで商店街のど真ん中で飲んでいるような不思議な感覚だ。
日本、イタリア、フランスをはじめとする自然派ワイン、店主が目利きした日本酒など、酒のラインナップがかなり充実しており、日本酒派、ワイン派、焼酎派、いずれの人間も満足できるはず。つまみも種類豊富で、隣からアツアツを運んできてくれるおでんや、おでんの出汁でうどんをゆでた「うでん」をはじめ、魚介を使った一品や、センスのいいチーズのセレクトといった酒のお供に事欠かない。
同店のおでん種のなかでも出色の出来ばえと言えるのが、「トマトのおでん」だ。クリアで雑味のない出汁で、湯むきしたトマトを丸のまま優しく煮含め、仕上げにドライバジルを散らしたものなのだが、それはそれは堪えられない美味しさ。トマトを崩しながら食べ進めると、トマトの酸味が出汁と混ざり合い、そこにバジルの香気が加わって、おでんというよりも上質なスープを飲んでいるかのように錯覚する。おでんの域を越えたおでんと言ってもいいかもしれない。ここに来たらぜひ頼みたい一品だ。
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