ハンセン病問題に関する中核施設。ハンセン病への誤解と偏見が繰り返されないことを願い、国が1993年に「高松宮記念ハンセン病資料館」として、「国立療養所多磨全生園」の隣に設立したのが始まりだ。
常設展示室は、「歴史展示」「癩療養所」「生き抜いた証」の3エリアから成り、ハンセン病を巡る歴史や、隔離政策による人権侵害、偏見、差別の実例などを展示。また「多磨全生園」の寮舎「山吹舎」の一室が再現され、療養所の暮らしがいかに苦しいものであったかを知ることができる。
「ビデオブース」では、国内外の約60人の回復者や関係者の証言映像の視聴が可能。ハンセン病問題への理解を深められるだけでなく、人権問題を自分ごととして考えることができる貴重な場と言えるだろう。
現在、多磨全生園では約100人の回復者が暮らしており、平均年齢は87.9歳。近年では地域との交流も盛んに行われている。両施設ともに、久米川駅や秋津駅などからバスで10〜20分ほど。事前の申し込みは不要で、誰でも見学できる。