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2020年に始まった政府の観光振興政策の一環「Go To トラベルキャンペーン」を巡る状況が二転三転している。同キャンペーンは予約サイトなどの観光業者を通じてホテルやツアーなどを予約した場合にその費用の50%が割引されるというもの。35%は旅行代金から差し引き、残り15%が旅行先で使うクーポンとして割り当てられる。
普段利用できないようなハイブランドのホテルに格安で宿泊できることもあって予約が急増、一部の大手旅行予約サイトでは割引額の減額や利用回数の制限などが行われ始め、Yahoo!トラベルは35%相当に当たる額の上限を、1万4,000円から3,500円に引き下げていた。
これらは、各業者に配分された予算を当該のサイトで使い切ってしまったために生じた現象だ。これを受けて、制度設計の段階での不備を指摘する声などの批判が噴出する一方、予算を使い切っていない中小旅行業者は、大手に流れていた顧客を取り込めるのではないかと期待する向きもあった。
しかし、国土交通大臣の赤羽一嘉は2020年10月13日の記者会見で、全ての旅行業者が同等の条件を維持できるよう予算の追加配分をすると発表した。これを受けて、14日までには制限を設けていた全ての業者で制限が撤廃された。
赤羽は宿泊割引35%、地域共通クーポン15%で合計50%、上限2万円の方針を堅持することを表明、この間に引き下げられた割引率で予約したケースなども含めて宿泊割引35%の支援が受けられ、キャンセル料なども発生させないように対応すると述べた。
追加配分したことで利用の多い事業者に予算が多く割り当てられると、中小事業者の予算枠が減る可能性もあるのではないかとの指摘には、予算が直ちに枯渇するような状況ではないと応じ、現時点までの平均割引額が一人1万2,000円強として予算には余裕があると強調した。また、今後についても、予算が枯渇した際に今回と同じような対応を事業者が取るのではないかという意見には、そうしたリスクを認めつつも、2021年1月31日までは同キャンペーンを維持し、その後は政府内で適切に対応、検討するという。
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