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タイムアウト東京が注目する、3月公開の映画を紹介。今月は、第91回アカデミー賞で作品賞を受賞したことでも話題の、黒人ピアニストと白人の用心棒との友情物語『グリーンブック』や、 社会的な問題を提起し続けるスパイク・リーが、白人至上主義団体に潜入捜査する黒人刑事を描いた新作 『ブラッククランズマン』。そして、大人気マーベルコミックのヒーロー、スパイダーマンシリーズの最新作『スパイダーマン:スパイダーバース』など、見逃し厳禁の作品が揃った。
『グリーンブック』※3月1日公開
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今年のアカデミー賞で、最高峰の作品賞に選ばれた本作。1960年代の人種差別が根強いアメリカ南部を巡業する品格あふれる天才黒人ピアニストと、彼に雇われた粗野な白人の用心棒が友情を深めていく、実話に基づいた感動のストーリーだ。過激なコメディ映画を手掛けてきたピーター・ファレリーならではの笑いも冴えている。
『ブラッククランズマン』※3月22日公開
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映画『ブラッククランズマン』は、『グリーンブック』と賞を争ったライバル的な作品だ。自身もアフリカ系アメリカ人である、スパイク・リーが監督を務めた。社会的、政治的な問題を取り扱って物議を醸しながらも、ポップカルチャーを絡めて軽やかに描く作風がおなじみのリー。アカデミー賞の授賞式で作品賞が『グリーンブック』だと発表された時、リーは怒りをあらわにして会場を立ち去ろうとまでしたという。表面上では当時より見えにくくなっているものの現在もアメリカで続く人種差別。両作品を観た上で、もう一度良く考えてみたい。
『新宿タイガー』※3月22日公開
(C)「新宿タイガー」の映画を作る会
東京に住んでいる人ならば、トラの面を着けてド派手な格好で街を歩くこの男に遭遇したことがあるかもしれない。1970年代から愛と平和を掲げてタイガーとして生きることを選んだ新宿のレジェンドだ。今では少し薄まっているかのように感じる、サブカルチャーの中心としての新宿。長年タイガーを知る人々の証言とともに濃いサブカルチャーの渦巻く街、新宿を体験しよう。
『スパイダーマン:バース』※3月8日公開
本年度アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:バース』。名実ともにスパイダーマン映画シリーズ最高傑作との呼び声が高い本作は、異なる次元で別々に活躍していた6人のスパイダーマンたちが集まった世界が舞台だ。主人公の中学生スパイダーマン、マイルス・モラレスがピーター・パーカーに指導され成長していく様を描く。初心者も楽しめる映画だが、過去シリーズからのネタや引用なども盛りだくさんで、熱心なファンも楽しめる。何度見ても発見がある作品だろう。
『ハッピーアイランド』※2019年3月2日公開
(C)ExPerson
東日本大震災の悲劇から丸8年がたった。岩手県で観測された津波の最大の高さ16.5メートルを示したヤフーの広告が渋谷に出現するなどして、今年の3月11日は改めて震災のことを考えた人も多いのではないだろうか。本作は震災、そして原発事故後の福島県で農業を営む人々の姿を、福島県出身の渡邊裕也が描くヒューマンドラマだ。主演は若手俳優の吉村界人(映画『太陽を掴め』など)が務め、ひょんなことから福島の農家で働くことになった都会の青年の成長を追う。今もなお5万人以上が避難生活を続けるなか、私たちにできることは何なのかを考えるきっかけになる作品だ。