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テキスト:泉友果子
2017年の東京は、「ブティックホテル」のオープンが目立った。日本ではラブホテルととられかねない「ブティックホテル」であるが、従来のホテルチェーンとは違った、比較的小規模でユニークなホテルのことで、デザイン性が高いのも特徴だ。東京のホテルといえば、六本木や新宿にある外資系高級ホテル、そしてチェーンのビジネスホテルが豊富で、その間のクラスのホテルがあまりないと言われてきた。
今年は東京の西エリアではTrunk Hotel、東エリアではWired Hotel AsakusaやLyuro東京清澄などがオープンしたが、同じく東側で11月1日にオープンしたのが、モクシー東京錦糸町だ。マリオットが新たに手がけるホテルブランドであるが、彼らが選んだのは錦糸町。再開発している北口エリアではなく、南側のラブホテルに囲まれた立地である。成田、羽田両空港からのアクセスが良く、浅草や両国、東京スカイツリーがある押上など観光スポットに近いエリアであることに目を付けたという。
マリオットが2014年にスタートしたモクシーホテルは、東アジアでは初めての展開となり、11月1日に東京と大阪の本町で同時オープンした。マリオットのホテルが錦糸町に誕生することに驚きつつ、モクシーが掲げるミレニアル世代をターゲットにしたスペース作りに興味が沸き、ホテルを訪れた。
オフィスビルをリノベーションした建物は10階まであり、2階から10階が客室だ。部屋は17〜20平方メートルでツインとクイーンを合わせて205室ある。価格は時期によっての変動はあるが、1部屋1万4,000円ほどからだ。客室をコンパクトで必要最低限の設備に抑えることで、系列ホテルのなかでもリーズナブルな価格帯となっている。部屋はテレビやシャワーは完備するが、冷蔵庫やセキュリティボックス、バスタブはない。その代わりに力を入れるのがパブリックエリア。ミレニアル世代を中心に、最近の旅行者はホテルにいる間、部屋でのんびりするというよりは、パブリックエリアで過ごすことが多いという考えのもとだ。
パブリックエリアは1階。ホテルエントランスを入ると、まずフロントがない。まるで海外にあるパブホテルのように、入り口左手にあるバーでチェックインする。大きなバーカウンターを中央に配したラウンジは24時間利用可能で、アルコール以外にもコーヒーや食事を楽しむ人の姿も見られ、無料Wi-Fiを利用しながら作業するのもよさそうだ。
入り口右手にあるのはライブラリースペース。仕事をしたり、のんびり読書をしたりということが似合いそうなスペースだ。そのほか、地下には24時間利用できるフィットネスルームやランドリールーム、30人ほど収容できる会議室も完備する。
パブリックスペースは、宿泊者でなくても利用可能。訪れた際も、ランチのヌードルビュッフェを楽しむ人や、打ち合わせをしている人々を見かけた。週末の夜にはDJイベントで盛り上がるそうだ。錦糸町であまり類似のスポットはないので、泊まらなくても便利なホテルとなりそうだ。
2018年以降も東京ではホテルのオープン予定にいとまがなく、民泊の解禁も話題だ。どんなユニークなホテルが生まれるのか、東京を訪れる人がどんな宿泊スタイルを選ぶのか、はたまたローカルで暮らす人々がどんな泊まらないホテルライフを送るのか、楽しみである。