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急速に変化する香港の景観において、市民が深い文化的、歴史的価値のある遺産とのつながりを保つことはますます難しくなっている。幸運なことにここ数年、香港では新しい機能で空間を再構築しながらも、歴史をたたえる多くの再開発プロジェクトがあった。
思い出の小道を歩きながら、香港を代表するスポットが今とは違い昔はどんな用途で使われていたのか見ていこう。
1. PMQ
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PMQはPolice Married Quartersの略。この場所にはかつてクイーンズカレッジの校舎があったが、第二次世界大戦で破壊。1951年に、当時初となる既婚警察官のための官舎が建てられ、140部屋のシングルルーム、28部屋のダブルルームが提供された。利用していたのは、近くの中央警察署で働いている署員とその家族だ。
2000年には官舎としての役割を終了。中国のホラー映画のロケ地としても使われたことはあったが、10年間ほぼ放置状態が続いた。2010年には歴史的意義をたたえるために三級歴史建築に指定され、その後すぐ、再開発計画と改修が始まった。
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2014年以降、PMQは現代のクリエーティブに触れられる場所になり、さまざまなショップや企業が集まっている。ファンションブランドではアンドリュー・カイラ、Aソサエティ、カポックなど、カフェやバーではルヴァンベーカリー、サケセントラル、ルイスなどが人気。
旧校舎の基礎部分は今でもトンネルとして残されていて、歩いて土地の歴史に触れることもできる。
2. カムラックス・ホテル(Camlux Hotel)
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カムラックスホテルの建物は、香港企業キャメルの魔法瓶製造工場だった。キャメルハウスといわれていたこの場所は、製造業の最前線にあり、機械設備はまさにエンジニアリングの偉業といえるものだった。三階には100トン規模の工業用ガラス炉、金属プレス機や塗料スプレー、プラスチック射出成形設備などが比較的狭いスペースに丁寧に配置されていた。まさに、魔法瓶製造に最適化された場所だったのだ。
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その建物は現在カムラックスホテルとなり、工場の美しさを維持しながらエンジニアリングへのオマージュを捧げ、ユニークな空間での滞在経験を提供。ホテルの客室にはキャメル製品を使った現代的なデザインのアート作品が置かれ、ホテルのさまざまな場所で魔法瓶がフィーチャーされている。ロビーではキャメルにおける75年の歴史を学べる展示を見ることができる。香港のサクセスストーリーの一つが生まれた場所で、その重要性と象徴的な意味を体感しよう。
3. 大館(Tai Kwun Centre for Heritage and Art)
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中央警察署、ビクトリア刑務所、中央治安判事があった複合施設で、イギリス植民地時代の最初期に建てられた低層建造物の一つ。警察署が2004年、刑務所が2006年に廃止された後は何年も放置されていたが、2008年に政府がこの施設を再開発する計画を発表。2018年に大館として再オープンした。
今では、セントラル地区の代表的なカルチャースペース、そしてショッピングスポットとなり、ギシ・ラウンジ、ザ・ディスオエンサリー、マダムフォーなどの素晴らしいバーやレストランも入居。ビハインド・バーズ(鉄格子の向こうという意)と呼ばれるカクテルバーでは、歴史的な刑務所の独房がどんなものかを体験することもできる。
4. ザ・ミルズ(The Mills)
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荃湾(チュンワン)にあるザ・ミルズは、1950年代はナン・ファン・コットン・ミルズという紡績工場だったが、大幅な改装を経て、2018年に香港の産業史を後世に伝えるアートとデザインのハブとしてよみがえった。繊維製造業は香港における発展初期の基礎となったため、この再生プロジェクトは記念碑的であり、将来の発展へのインスピレーションである。
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今はカフェやレストラン、地元のデザイナーショップが入り、Instagramにぴったりな空間もたくさん。この歴史的なランドマークの隅々まで見ることは、過去、現在、そして未来の交差点に立つこといえるだろう。
5. 1881ヘリテージ(1881 Heritage)
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1881ヘリテージ|1881 Heritage
尖沙咀中心に位置する1881ヘリテージは、旧海洋警察本部と前九龍消防局を再開発した複合施設。海洋警察本部だったヴィクトリアン様式の建物は130年の歴史を持ち、豊かな植民地時代の特徴を残す。旧九龍消防署のメインブロックを除く部分が、古物古蹟条例により1994年から記念物として認定されている。
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2019年に修復され、カントン・ロードのカルチャーやショッピングシーンにおけるランドマークになった。修復後は、五つの新しいレストラン、ブティックホテル、そして多くの豪華なブティックが入る。海賊が投獄された場所に、高級レストランが建っているというのが面白い。
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