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2020年6月末、バンコクのチャオプラヤー川に高架式の庭園と歩行者専用の橋を兼ねた、チャオプラヤースカイパーク(Chao Phraya SkyPark)がグランドオープンする。このプロジェクトは、1990年代に高架鉄道のために途中まで作られ、その後は荒れ果てたままだった「未完の橋」を再生したもので、都市における緑の公共空間に新たな次元をもたらし、さらに、バンコクの人々が自然を享受する方法を変える可能性も持っている。
同プロジェクトを共同で担当したのは、建築設計事務所のUDDC(Urban Design and Development Center)、ランドスケープ設計のエキスパートであるランドプロセス(Landprocess)、そしてデザイン会社であるN7A アーキテクツ(N7A Architects)。タイムアウトバンコクでは、UDDCのトップであるニラモン・セリサクンにインタビューし、このような野心的なプロジェクトを構築する上での課題、また新しい緑地に期待することを聞いた。
ー荒れ果てた鉄道橋を空中庭園のある橋にするというアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか?
全てのきっかけは、バンコク250というプロジェクトです。私たちは地域の声に耳を傾けました。そのなかで、ブッパラーム地区のリーダーであるプラディット・ホイコントンが、完成に至らなかったラヴァリン・スカイトレインのことを教えてくれたのです。
彼は、この再生プロジェクトが成功すれば、経済、文化、観光などさまざまな面でバンコクとトンブリの間に大きなつながりが生まれるだろうと指摘してくれました。私と私のチームはこれを貴重な機会だと思い、着手したのです。
ーインスピレーションはどこから生まれましたか?
実は、川に空中庭園の橋を架けることは、19世紀から世界中の建築家の大きな夢だったのですが、誰も成功していません。ロンドンではテムズ川で、ニューヨークではエコパークのあるピア35で、ワシントンD.C.ではアナコスティア川で計画がありましたが、実現しませんでした。それでも、私たちの中では夢と希望があったので、似たような工事で成功したプロジェクトの調査、検討を開始しました。
ニューヨークにある全長1.45マイル(約2.3キロ)の高架公園であるハイラインや、パリ・バスティーユ・ヴィンセンヌ線の線路をパリの職人のための公共空間へ変えたヴィアドゥック・デ・アーツなどは、私たちの大きなインスピレーションの源となった改造建築物です。これらのプロジェクトは、既存の構造物をより機能的な緑地に転換した好例でもあります。
ー今回のプロジェクトの最終的な目標や期待されていることは何だったのでしょう
私たちの最大の目標は、バンコクの緑豊かな公共空間を改善することです。バンコクとトンブリの間の徒歩や自転車のルートを整備し両地区の橋渡しをして、地域社会における所得分配の改善を支援することでした。
橋の上では、両地域が協力してエンターテインメントイベントを開催することも可能です。双方をつなぐ空間であるため、文化的な面だけでなく、社会的、経済的な機会も生まれます。
ープロジェクトで経験した課題や限界はありますか?
一番の難関は工事です。車両や機械を鉄道橋に乗せることができないので、作業工程はアリがゆっくりと砂糖を集めているようなものでした。また、安全基準上、橋の上に乗せる物の総重量にも制限がありました。
ーほかにはどんなことが期待できますか?
まず、私は心を込めて、バンコクに良い公共空間ができることをうれしく思っています。公園はもうすぐグランドオープンします。フィールドトリップ、教育ツアー、またエンターテインメントなどの目的で来る、全ての人を歓迎します。
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