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メディアアーティスト、落合陽一の個展『落合陽一、山紫水明∽事事無碍∽計算機自然』が、2018年6月28日(木)まで、EYE OF GYREにて開催されている。本展で展示されているのは、落合がアーティストとして向き合ってきた「映像と物質の間の探求」をテーマにした近作や、「東洋の持っている物化の過程を詩的に体感する旅路」として制作した新作だ。4月20日に開催されたプレスツアーには、落合自身も参加。それぞれの作品についての説明も行った。
個展がスタートして間もないこともあり、各作品の詳しい説明は省略するが、1つだけ、落合が一番気合を入れたという『波の形,反射,海と空の点描』を紹介したい。『波の形,反射,海と空の点描』は、サバをモチーフに描かれた絵。「サバを横から切り取ると風景画になる」と思ったことから、この作品を制作したそうだ。作品には銀箔が貼られており、正面から見るのと、横から見るのでは、本物のサバのように色味が違って見えるのも面白い。
サバの背が青色、腹が銀色をしている理由は、外敵から身を守るため。上から見た時に海のように青く、下から見た時に太陽のように白ければ、敵から目立ちにくい。つまり、海と空に馴染むための保護色というわけだ。落合は、時折このような話も含めながら、作品の紹介を進めていた。
そのほか、BGMのない空間に時々「バチン」と音を鳴らす作品や、天地が逆になった、立体感のある遠景を見ることのできる『Morpho Scenery』など、コンパクトな空間ながらも見所満載な内容。これだけの展示を無料で観られるとは、かなり贅沢だ。写真だけでは作品の魅力を伝えきれない部分もあるので、実際に足を運び、ぜひ「生」で体感してみてほしい。