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大小さまざまなライブハウスが並び、日本のインディーズ音楽シーンを語る上で外せない街、下北沢。そこへ新たにカルチャーシーンを支えるプラットフォーム、リヴハウス(LIVE HAUS)がオープンすることが発表された。和製英語である「LIVE HOUSE(ライブハウス)」をもじって、「生きる家」という意味で名付けたという。
2020年4月にオープンするというリヴハウスは、旧来のライブハウスのシステム を解体し再定義すべく、画期的なシステムを用意している。
これからの時代のはじまりに
— LIVE HAUS (@LIVEHAUS_) January 20, 2020
2020年4月
東京 世田谷 下北沢にこれからの時代のLIVE HOUSE/CLUBを作ります
店名は「LIVE HAUS」
俗称 リヴハウス
生きる家と意味付けました。
旧来のライブハウスの解体/再定義を目指します
HP並びにステートメントをご参照頂けたら幸いです。https://t.co/l7ai5pNN06 pic.twitter.com/DVjcoAY9h3
先日1月20日、公式サイトで、オープンに向けたステートメントが発表された
ハイクオリティーな音響の中、目指すのは「箱代0円」
注目すべきは、アーティストとオーディエンスが同所を利用するためのハードルを下げる措置が取られていることだ。
ステートメントには、「『箱代0円』を目指し、従来のライブハウスでは実現できなかった金額で場所を提供」「20歳未満・海外からの旅行者は全日ドリンク代のみで入場可」とある。
そして、ドネーションを集めるための音楽イベントや、海外アーティストの招聘(しょうへい)に対するサポートを示す姿勢からは、ここが単なる場所提供だけを目的に作られたものではないこと、ライブハウスで生み出されるクリエーティブに貢献できる存在を目指そうとするスタンスが伺える。
しかしキャパシティ150人、下北沢駅から徒歩3分という好立地の中、それらを実現し、継続していくことは、生半可な覚悟では成し得ないことのようにも思える。タイムアウト東京では、発起人の一人スガナミユウにメールで、オープンへの思いを聞いた。
発起人、スガナミユウコメント(一部抜粋)
ーリヴハウスのシステムを考えついたきっかけと経緯を教えてください。
こういった仕組みを考えたのは、出演者と店、それぞれが自主独立することで、淀みのない場所が作れたら、という考えがありました。 例えば、エントランスの受付は、イベント側で行うか、箱のスタッフで行うか選択できます。箱のスタッフで行う場合は追加で1人分の人件費がかかりますが、選べることが大切だと思っています。演者とお客さん、スタッフ、みんながそれをちゃんと分かっていて、納得のいくお金の回し方をしたいと思いました。
僕は2012年からイベンター兼バンドマンとして、新宿ロフトなどでチケットフリーのパーティーを行ってきました。その後下北沢THREEで店長を務めていた4年間では、さまざまな取り組みを行い、ノルマ制の廃止に始まり、フリーパーティーも毎週末、多い時で月10日ほど開催していました。そういったチケット代を主な収入源としない方法、トライ&エラーの上にリヴハウスの仕組みがあります。
メニューボード
ー下北沢を拠点に選んだ理由を教えてください。
音を出す商売というのは場所が限られているので、今回は、どこでやりたいというよりは、場所を探しながら何ができるかを考えていました。この街を選んだというよりは、紆余曲折あり導かれたという感覚が近いかもしれません。 下北沢は、ZOO/SLITSの時代から素晴らしい文化的側面を持っている街です。その場所でライブハウスをやらせてもらえることを誇りに思います。
ーリヴハウスのオープンにより、これまでも音楽の街として栄えていた下北沢(ないし全国)のライブハウスシーンが、どのように変化していくことを期待しますか?
ほかの店がどうというのは正直全くありません。それぞれの商いと事情があり経営をしているので、何が正しいということではないし、一緒じゃない方が良い気がします。自分の中での信念があるだけです。
今回のトライは非常にシビアなものです。楽な商売などないし、言い訳や逃げ道を作らず、これがスタンダードだと思いながら店をやった方が頑張れるので。 個人的には、人々にとってライブハウスがより有益な場所になればいいなと思います。
音楽の評価軸は個人であるべきで、一個人の思いとしては、自分が素晴らしいと思っている音楽をより多くの人に体験してもらえる場所を作れたらと思っています。それは1人でも多く、という規模の話です。小箱がやるべきことはその連続です。
テキスト:高木望
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