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新型コロナで需要急増、アメリカの自転車が品薄に

Anna Rahmanan
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Anna Rahmanan
Senior National News Editor
Bike riders
Photograph: Joe Tabacca/Shutterstock.com
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新型コロナウイルスの流行以降、人々は移動の制限を受け、公共交通機関の利用も回避する傾向にある。そんななか、最も伝統的な移動手段である自転車にアメリカ人が注目し始めている。

それを示すように、アメリカではあらゆる種類の自転車の購買需要が激増し、全国的に自転車が品薄になっている。『ニューヨークタイムズ』は、市場調査会社のN.P.D.グループのデータを用い「3月の全国の自転車、関連機器、修理サービスの売上は前年同月比でほぼ倍増。同じ期間に通勤通学およびフィットネス向け自転車は66%増、レジャー向け自転車は121%増、子ども向け自転車は59%増、電動自転車は85%増だった」と需要の高さを伝えた。この傾向が始まったのは、アメリカが新型コロナの流行拡大防止に本格的に取り組むようになってから。実際、隔離生活中は、子どもたちも含めてみんなが自転車に乗っていた。

しかし、自転車の不足は単なるニーズの急増が原因なわけではない。コロナの大流行が世界中の主要な製造工場の閉鎖を余儀なくさせているのだ。自転車と自転車部品の生産は、ほぼ停止といえるぐらいペースダウンしている。 数カ月前の受注分がようやく処理され始めたが、注文分の生産を完了するにはあと2、3カ月はかかる。その状況に、さらに新規注文の急速な増加が重なっている。

原因はさらにある。『インサイドフック』は自転車の品薄状態を伝える記事で「アメリカ大統領のトランプは、2018年に中国から輸入される製品に関税を課すように指示している。対象には、ほとんどの初心者向け自転車で使われる自転車部品が含まれ、これに呼応して、アメリカの自転車販売業者は2019年の発注台数を25%、今年の最初の四半期ではさらにその30%まで減らしている」と説明している。需要の急増と供給不足の深刻さが相まって、品薄がより目立っているのだ。

今販売されている数少ない自転車は、1,000ドル(約11万円)近くするものばかりだ。ブルックリン・バイシクル・カンパニー(Brooklyn Bicycle Company)の社長、ライアン・ザガタは、ニューヨークタイムズに対し、「3週間前であれば、まだ1,000ドル以下の自転車があったが、今はほとんどない」と語った。同記事でさらに、シカゴにあるトリン・バイクス(Turin Bikes)のリー・カッツは、政府の支援金より安い自転車の在庫が少なくなっていることに対し、「まだ少しは残っているが、取り合い状態で売れてしまうだろう。今のように自転車が少ない状態は、7月まで続くと考えている」と語った。


今となっては、アメリカ人は自転車に対して効率的な移動手段以上のものを求めている。自転車に乗ること自体が娯楽で、さらに、ほかの人と近づきすぎることを恐れずに、屋外に出られるという利点もある。また、ジムへ行けない隔離生活においては、ランニング以外の事実上唯一の有酸素運動でもあるのだ。

さて、アメリカで自転車は定着するだろうか。答えは簡単ではない。疑問に次ぐ疑問がわいてくるからだ。我々は、バスや地下鉄に乗る代わりに自転車で街を走ることに慣れるだろうか? 社会に不可欠ではあるが、明らかに環境に悪影響を与えている車を間接的に削減する方法を見つけたといえるだろうか? アメリカは、世界でも類を見ないほど自転車大陸であるヨーロッパのようになるのだろうか? これらの疑問を解決してくれるのは、時間しかないのかもしれない。

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