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代々木駅から少し歩くと、そこだけ時が止まったかのように朽ち果てたビルが現れる。「東京の九龍城砦(香港にあった有名なスラム街)」ともささやかれる代々木会館は、知る人ぞ知る東京のB級スポットだ。
そんな会館の一角にかまえ、今も多くのファンを持つ古書店、東豊(とうほう)書店が、6月末、ついに長年の営業に終止符を打つ。閉店に伴い、今にも崩れ落ちそうなほどに積み上げられた書籍の数々を、全て半額で販売中だ。
魔窟との呼び名もある店内に踏み入ると、そこはまるで本の迷路。全ての本棚はびっしりと埋められ、通路や階段にまであふれている。
販売されている書籍の多くは中国や台湾から輸入されたもので、中には貴重な歴史書や漢方医学書も含まれているという。目にも楽しい中国の絵本などもあり、価値が分かる人やコレクターにとっては、まさしく宝が眠る山だろう。
なお、当書店のみならず、老朽化したビル自体の取り壊しもささやかれており、「昭和の遺産」に足を踏み入れられる期間も残りわずかかもしれない。今のうちに、目当ての書籍を格安でゲットし、ビルの姿を目に焼き付けておきたい。
東豊書店
〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-35-1
03-3370-6769