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2018年、京都府舞鶴市の市長、多々見良三(たたみ・りょうぞう)が、土俵でスピーチを行っている際にくも膜下出血を起こして倒れた。心肺蘇生を行うために、看護師1人を含む数人の女性が土俵上の多々見のもとに駆け付けた。しかしその時、神聖な土俵は女性が入ることが禁じられているため、女性たちに「土俵から出るように」とアナウンスの指示があったのだ。
相撲は日本で最も古いスポーツで、その起源は約1500年前にさかのぼる。神の前で強さを披露する、神道の儀式の踊りにそのルーツがあるといわれており、現在は力士たちが名声を獲得するために戦うスポーツへと発展していった。
このほど、Netflixで公開された19分間のドキュメンタリー『相撲人(Little Miss Sumo)』は、BBCが発表した「今年の女性100人」に選ばれた日本人の1人、21歳の今日和(こん・ひより)を追ったドキュメンタリー作品だ。今は、「相撲王国」として知られる青森県の出身。多くの子どもたちと同じく、小学校で相撲を始めた。本作では、世界最強の女性力士になるという今の旅と夢を追いながら、その驚異的な身体能力を写していく。
本作を監督したイギリス出身のマット・ケイは、2017年に今と初めて出会い、制作を決意。2018年に公開されると『マンチェスター国際映画祭』で英国映画賞を受賞するなど、評論家から高い評価を得た。
大学でジェンダー論を学ぶ今は、勇気ある追求を通して、スポーツ界でもより多くの女性が参加することの支援もしている。「日本では、『理想的な』女性というのは控えめであり、男性の3歩後ろを歩かなければならないのです」と今は話す
本作は、簡潔で力強く撮影されたドキュメンタリーで、日本社会の性別問題を絶妙に捉えている。そして、厳しい訓練や古くから伝わる儀式、体重の重い力士たちの驚くべき身体能力などを紹介する、相撲に対する洞察でもある。