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テキスト:高岡謙太郎
スターDJを拝みに行く大箱とは違い、DJと同じ目線で遊べる小箱は、人と人が顔を突き合わせて触れ合う賑々(にぎにぎ)しい雰囲気が特徴だ。幡ヶ谷のクラブFORESTLIMITは、50人も入れば満員になる小箱。国内外さまざまな界隈のDJやアーティストが出演し、「行き着くところまで行き着いた」クラブミュージック好きのハブとなっている。一筋縄ではいかない音楽好きがひしめく特殊な地場を保ちつづけて、今年で9年目を迎えた。それを記念して、店が企画した3つのパーティを軸に、前夜祭を含めた合計13のアニバーサリーパーティーが4月17日(水)より行われる。
100名近い出演者が参加する賑やかな状況を作ることができたのは、多くの人が自然に参加できる場作りに配慮していたからだろう。運営方針について店側は「ここまで続けてこれたのは、音楽の持つ純粋な力によって年齢や性別を超えアーティスト、お客、お店がフラットな立場で感覚、時間を共有し、成長し得たからこそだと思います」とコメントしている。
2016年6月に施行された改正風営法によって、デイタイムへとパーティーをシフトしているクラブが増えた。同店では、規定された営業時間に合わせ、朝の6時から23時59分まで行われるパーティも企画されている。ギリギリまでみっちり遊ぶ。時代に合わせた企画のセンスは、同店ならではだろう。
アニバーサリー期間中のスケジュールは、公式サイトを確認してほしい。日本の伝統音楽などを掘るロンドンのハードディガーJapan Bluesや、メンバーのYo!マイキーが4月2日に逝去した2MUCH CREW、Vid Edda(Sensorisk Verden)、Soft Items(Sensorisk Verden)、坂口光央、Yoshio Kuge x Killer Bong × Yoko Higashino、Toshio Kajiwara x YPYなど、見逃せないアクトが目白押しだ。一歩踏み込んだクラブ体験をしたいのなら、今回が参加のチャンス。9年の間で育まれた独自の地場に巻き込まれてほしい。