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東京で最も眠らない街、歌舞伎町。高級クラブやホストクラブ、キャバクラ、風俗店、スナックが並び、ギラギラと輝くネオンは人々の欲望を駆り立てる。しかし現在、コロナ禍でその輝きが薄れようとしている。2020年、世界中を襲った新型コロナウイルスによる影響はもとより、東京都知事から名指しで挙げられた「夜の街」の自粛要請は決定的な打撃となった。歌舞伎町の街並みは姿を変え、現在も休業中の店やひっそりと閉店した店も多く並ぶ。
歌舞伎町の中心部にあるバックステージ アズは、高級クラブを経営していたオーナーが1980年に創業し、40年間クラブやバー、スナックで働く女性たちのために、出勤前のヘアセットを担当してきた老舗美容室。2018年に手塚マキ率いるスマッパグループが引き継ぎ現在も経営を続けているが、「夜の街」自粛要請の影響は華やかな業界を支える裏方の仕事にも暗雲をもたらしている。
今回はバックステージ アズの歴史を聞くとともに、タイムアウト東京の日英編集部が20年以上続けているという浴衣のレンタル、ヘアセットを体験した様子をレポートする。
本格的な和髪からファッションに合わせたスタイルまで
長年にわたって、クラブのママをはじめ夜の街で働く女性たちのヘアセットを行うバックステージ アズ。美しくセットされた髪は、商売道具であり仕事に向かう戦闘服のようなもの。多忙な女性たちの時間を少しでも奪わないため、セットは手際よくこなし、平均して一人当たり15分ほどで仕上げるという。ヘアカタログにはさまざまな時代の推移が映し出されていた。
浴衣のレンタル、着付けとヘアセットは5,000円で受け付けており、浴衣は着用した翌日に返却するシステム。通常は、花火大会の時などに人気があるそう。今年の夏は祭や花火大会が中止となったが、浴衣を着て夕涼みなら今からでも可能だ。浴衣は20着ほどある中から好みのものを選べる。シックな古典風から、現代風の柄までそろっていた。
「コロナで皆大変。でも、お客さまに暗い顔で帰って欲しくない」
熟練の腕を持つスタッフが運営する美容室だが、現在客足は遠のいているという。厳しい状況のなかでも、客に対しての配慮は欠かさない。「来てくれるお客さまには暗い顔をさせない。明るく気持ち良く帰ってもらえるよう心がけている」と、受付を担当する長尾は語る。
また2020年6月からは、歌舞伎町の美容室ならではのグッズをそろえたショップコーナー、ながお商店を設置。カラフルなコームやヘアネット、フルーツ型のエコバッグのほか、本来スプレーを吹きかける際に顔をガードするためのスケルトンフェイスシールドも販売。こちらはコロナ対策にも使えそうだ。
バックステージ アズでは、整体、マッサージコースの提供のほか、ソムリエワインの講習会なども開催。今後もさまざまな展開を予定している。浴衣のほか、着物のレンタルも行っており、着付けは持ち込みでも可能だ。ヘアセットは髪の長さに関わらず、その技術とスピードで好みのスタイルに仕上げてくれる。筆者の短い髪も熟練の腕にかかり、本格的なクラブのママ風の和髪に仕上がっていた。
浴衣に合うヘアセットで夏を取り戻すもよし、本格的な和髪で一日ママ体験を味わうもよし、歌舞伎町で非日常の体験を楽しんでみよう。
浴衣のレンタル、着付け、ヘアセット貸出プラン
料金:5,000円 かんざしなどヘアアクセサリーの貸し出し可能(別途料金500円、返却時に返金)
※浴衣レンタル、着付けプランは10月末までを予定。それ以降希望の際は電話確認が必要。
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