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このヴェニューが進化するほど、東京の音楽シーンは一層の厚みを増していくだろう。そう言っても過言ではない。2020年2月末、下北沢でプレオープンを迎えたばかりのクラブ&ライブスペース、スプレッド(SPREAD)が、営業継続のための支援をCAMPFIREで募っている。
コロナ期間中も「音楽の遊び場」を耕し続けた新ヴェニュー
東京都で緊急事態宣言が発せられ、街中が静かになったころ、スプレッドでは、5月から6月の1カ月間、毎日欠かさずに最先端の音楽を発信し続けていた。
都内を中心にパーティーを主催するFLATTOPとタッグを組み、下北沢から世界に向け音楽と映像を配信するチャンネル『VIDEO SERVISE “AMUSEMENT”』。チャンネルには、マヒトゥザピーポー(GEZAN)や鎮座DOPENESS、寺尾紗穂、そしてYoshinori Hayashi、okadadaなど、あらゆるジャンルから総勢115組ものアーティストが集結した。この企画の詳細については、過去の取材記事を参照してほしい。
しかしその期間、フロアにオーディエンスが足を踏み入れることはなかった。本来であれば4月に開店する予定だったが、新型コロナウイルスに伴う営業自粛により、スプレッドは2月のオープンから1カ月足らずのうちに休業。金銭面に関しては一貫して厳しい状況が続き、開店に向けた十分なフロア工事も行えないままだった。現在はかろうじてバー営業のみをスタートしている。
来月9月中の正式なオープンを迎えるにあたり、いよいよ資金準備のためのクラウドファンディングに踏み切った。
豪華なリターングッズにも注目
8月7日に立ち上がったクラウドファンディングで注目すべきは、あらゆるクリエーター陣とのコラボレーションで実現した、豪華なリターングッズ。
岡本ユウジの手がけるブランド『CYDERHOUSE』のオリジナルTシャツのほか、『VIDEO SERVICE "AMUSEMENT"』のアートワークを手がけたイラストレーター、Ryu Nishiyamaのナップサックなど、そうそうたるクリエーターが名を連ね、グッズのデザインに携わっている。
また、suiminやKotsuといった都内のクラブシーンを支えるアーティストのデザインしたTシャツにも注目。いずれもデイリーユースの利きそうなアイテムが並ぶ。リターン品は11月上旬より順次発送予定だ。
中でも気になるのは、配信内でも好評だった『TYO GQOM×¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U×BRDG』を生で体験できる限定チケット。イベントは9月11日(金)に開催される予定。映像集団BPDGの演出が、生の現場でどう映えるかに期待したい。なお、リターンには正式オープン後1年間使えるドリンクチケットと、オリジナルステッカーが付いてくる。
未来のクラブシーンに投資するためのクラウドファンディング
今後、しばらくは新たなヴェニューが誕生することもないかもしれない。そんな惨禍のなか、スプレッドは確かなキュレーション力をもったスポットとして、新たに誕生した。
本オープン前からすでにあらゆるジャンルや世代のアーティストの支持を受け、充実したコンテンツを発信できるような場所だ。数年後、数十年後には東京、ひいては日本の文化芸術を支え、けん引する場所の一つとして成長するに違いない。
なおクラウドファンディングの資金は主に音響、照明工事費用と、空間維持に関わる継続資金として活用される。特に照明が実装されることで、さらなる演出効果が期待できるようになるだろう。これからの未来に期待し、投資をするつもりで支援してほしい。
クラウドファンディングの締め切りは9月3日(木)23時59分まで。
テキスト:高木望
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