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2020年8月26日、モントリオール市の食料品宅配サービス会社、ルファファームス(Lufa Farms)が実施していた工事が完了し、同市に世界最大となる屋上農園が誕生した。
農園があるのはサンローラン地区の廃倉庫の屋上。広さは約1万5200平方メールで、サッカー場3面分ほど。パリに最近オープンした都市型屋上農園の面積を上回る。この農園では1万世帯分の食材を十分に育てることができ、モントリオール市での同社シェアを1%から2%に倍増させることが可能になった。
この数はそう多くないと思う人もいるかもしれないが、モントリオールの長い冬を考慮に入れるとかなりの生産量になる。新しい施設では、週に約11トンものトマトとナスを栽培。これまで稼働していたほかの温室も含めると、ルファファームス社全体では栽培面積が約2万7000平方メートル、生産できる野菜や果物の種類は100種類以上となる。
2019年11月、この施設の起工式に合わせて出されたプレスリリースの中で、ルファファームスの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるモハメド・ヘイグは、「ハイパーローカルで持続可能な都市農業のための信じられないほど素晴らしい一歩です」とプロジェクトへの期待を語っていた。
温室にはもう一つのメリットがある。同プレスリリースで、サンローラン地区の区長であるアラン・ドゥスーザは、「表面積の70%以上が工業や商業活動に費やされている我々の地区では、温室を作ることでヒートアイランド対策が可能になります。サンローランは新しく、革新的なグリーンテクノロジーの最前線にあるのです」と述べている。
温室では、二重窓ガラスと二組の省エネスクリーンを使用して断熱性を高めている。雨水を貯留してクローズドループ式の灌漑システムに利用。敷地内には、堆肥化システムもある。苗は水を再利用できるようにココナッツファイバーの袋に入れて栽培し、受粉にはミツバチ、害虫駆除にはテントウムシを導入している。農薬は未使用だ。
ルファファームス社は、ローレン・ラスメルが21歳の時、夫であるモハメド・ヘイグらと共同で設立。この新施設は、同社の創設10周年を記念する事業でもある。
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